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特集・福島原発事故を追う

時事スクラップノート(30)

失地回復を目指す原発推進勢力の策動
―NHK番組批判

坂本 陸郎

3月11日、NHKBSドキュメンタリー番組が、福島原発事故後のアメリカの対応と、ドイツに次いで脱原発を決定したスイスの現状を伝えていた。
アメリカでは、NRC原子力規制委員会が、日本側の提供する情報量がきわめて不十分であったため、事故直後に40人のスタッフによる特別調査チームを編成し、宇宙衛星なども使い、24時間体制で情報を収集したこと、福島原発と同型の沸騰水型マーク1を稼働中(ミューレンブルグ原発は連邦行政裁判所の運転停止命令によって来年稼働停止決定)のスイスでも非常時を想定した体制を敷いた。
スイスでは、70年代初めにGEから福島原発1号機と同型の売り込みがあったとき、当時、科学者と専門家の間では、マーク1型の安全性を疑問視する見方が支配的であったことから、GE設計による建屋ではなく、筒状の強固な建屋を独自に建造することを条件に、GEとの間の契約を交わした。GEが設計したマーク1型原子炉は、もともと原子炉の建造費を節約するために格納容器がきわめて狭く、建屋も貧弱であり、しかも水素爆発など苛酷事故にそなえるベントの装備も不十分という判断があった。
スイス原子力会議会員で元IAEA事務局長のブルーノペロー氏は、スイスと日本での原発対応の違いを次のように語っていた。 「原発の安全性は日本において十分に検討すべきであった。他人任せにすべきではなかったのだ。福島原発事故前に、東電の人たちに追加の安全対策を勧めたことがあったが、彼らは、米国政府からもGEからもそのような指示がないと、笑って相手にせず、受け入れようとしなかった。
福島原発事故を知って驚いた。日本は地震国ではなかったのか。であれば、地震と津波による苛酷事故は当然予測できたのではなかったのか。しかも日本は事故前にも、米国側にたいして苛酷事故の対応について質問し、助言を得ていたのだ。にもかかわらず全電源喪失事故の想定は必要ないと判断していた。80年代のころは、世界の原子力産業にとって全電源喪失事故は最大の研究テーマだったのに、日本にはその認識がなかった。日本は、原子力発電に絶対安全ということがないことを理解すべきであったのだ」
番組が、スイスではふだんから苛酷事故を想定し、実物とまったく同じ模擬コントロールルームで、非常時にそなえて担当者の訓練を日常的に行っている場面を紹介していた。 スイスでは、水素爆発を防ぐためのベントにしても、全電源喪失にそなえて、高圧と重力で開くようになっている。(福島では手動に切り替えるのに時間を要し、水素爆発を引き起こした)。しかも、ベントの際の放射能の大気中への拡散を防ぐために、薬品に浸した濾過装置が設置されていて、それによって放射性物質は千分の一に薄めることが可能となっている。
アメリカでは、福島原発事故後、住民の原発稼働停止をもとめる運動の高まりが見られるものの、脱原発にむけた具体的な政府の動きはなく、昨年12月には、米原子力規制委員会(NRC)がスリーマイル事故以来凍結していた原発の新設を許可し、オバマ大統領は福島原発事故を受け、安全強化を国民に公約、新たな規制を実施することとなった。
それを、「NRCヤッコ委員長は「委員会として、福島の事故後の努力をさらに前進させる重要な措置だとし、今回はその第一段階として、@2001年の同時多発テロ事件後に導入された設備の保護強化、A使用済み核燃料プールの冷却水の監視強化に関する二つの命令を即時実施する」としている。(赤旗3月11日付)
原子炉の構造上の欠陥に着目したというより、原発をターゲットとするテロ攻撃に対処したもののようである。福島原発事故後にNRC内に急遽つくられた特別専門部会が提案した、法令によるベントの全原発への設置義務化の提案は見送られ、自主的な設置の奨励に変えられたことが、米国の安全性軽視の姿勢を示している。

昨年の暮れに政府が「冷温停止状態」になったとして事故の「収束」を宣言したのだが、それにたいして疑問を呈した報道と番組はほとんどなかった。それらの中で同月、NHKETV特集「追跡―真相フアイル、低線量被ばく 揺らぐ国際基準」は、取材力をいかんなく発揮した番組として出色であった。
番組によれば、政府がいうところの安全基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)が設ける基準値に基づくものだが、チエルノブイリ事故でセシウムが降下したスウエーデンでは、ICRPの基準値を下回る被ばく線量でも癌が多発し、アメリカでも、原発から流出したごく微量のトリチウムが地下水を汚染し周辺地域で癌が多発しているという。そのような事実の多発によって、80年代後半になると、各国で低線量被ばくの危険性を指摘する声が高まり、それとともに、ICRPが発表する基準値にたいして各国から強い反発が寄せられていた。そうしたなかで、ICRPが癌になるリスクを実際の半分に見積もっていたことが判明した。(ICRPの低線量内部被ばくを無視する姿勢は原発を推進する立場によるものだが、現在ICRPではその反省が余儀なくされている)
したがって、ICRPの「正当性」をNHKの番組が正面から問うたのは正しかったと言える。だが、正しかったゆえに、日本の原発推進勢力にとっては、それが痛手であったようである。
早速、「エネルギー戦略研究会」、「日本原子力学会シニアネットワーク連絡会」、「エネルギー問題に発言する会」なる3団体が「抗議と要望について」という文書をNHKに送りつけてきた。その8ページにわたる抗議文の前文で、かれらは次のように書いている。 「この報道番組は期待に反し、数々の論旨のすり替え、事実誤認、不都合な情報の隠ぺい、根拠薄弱な問題指摘などにより構築された、非常に問題の多い内容であり、誠に遺憾ながら、公共放送としてNHKに求められる高い放送倫理に疑義を挟まざる負えない番組であったと受け止めております。ことに、今から本格除染を開始しようとしている福島県民の方々や、食品の放射能に神経をすり減らしている多くの国民を混乱に陥れる惧れがあるという点で、大変に影響の大きい、問題のある番組であったと言わざるを得ません」
抗議文はその中で、「その後の疫学的調査では原子力施設と疫病との関係が認められたものはありません」と虚偽を語り、「不勉強か、もしくは初めから虚構の結論ありきの番組制作であった」と番組制作者を非難したうえで、「このような重要な番組を企画される場合は、まずは正しい知識を勉強されることが必須です」と諭し、「指摘した事項につき厳正な調査」と「事実誤認などが判明した際の公式な改め」、「慎重な番組制作と公正公平な報道に努めること」を「要望」している。
圧巻なのは、文末に添えられた大学の研究者、原子力機関の元研究員、原子力企業社員など112名もの氏名一覧である。彼らの抗議内容が正しいのであれば、なにも賛同者としてこれほどの人数を揃えることはなかったのではないか思わざるを得ない。
抗議文を送りつけた3団体は、常々、原子力に批判的な番組に目を光らせ、それが目に留まると、学問的装いをこらした仰々しい抗議文を送りつけるのを常とう手段としているようである。民放とちがって、広告費といった「決め手」を欠くNHKにたいする介入方法としては、せいぜいこの程度のものしかなかったのだろうが、結果は、はかばかしくなかった模様である。
(3月12日)
※2月末のJCJ拡大運営委員会の折にNHK関係者の方から提供いただいた
 抗議文を資料として使った。

   


原発事故「終末」はあるか

坂本 陸郎

1「想定外」ではない
 福島原発事故は想定外などではなく、いままでに安全対策をおこたり、事故が起きてからの対応を誤った二重の人災である。東電は法律上の免責規定に目をつけ、原子力損害賠償紛争審査会に要望書を提出した。「原子力損害賠償に関する法」によれば、事故の被害責任は原則無限責任なのだが、免責の条項に「異常に巨大な天災地変」と書かれてあることから、「それに当る可能性も十分にあると考えております」と東電は要望書に書いている。隕石の落下、テロ、飛行機の墜落、敵国からのミサイル攻撃などの場合は該当するだろうから想定外となるのかもしれない。

2 収束のめどは立っていない
 ベントの遅れが水素爆発を誘発した。廃炉をためらったため海水の緊急注水は大幅に遅れた。その後はヘリで空中から水を落としたり、発電機器が破壊されているのに外から電線を引っぱったりしてみせた。指令室の明かりがついた様子を見せたりもした。電源回復を印象付けようとしたのだった。海水注入の遅れは班目安全委員会委員長が再臨界を口にしたことが原因だとされ紛糾している。政府も安全委員会も責任を逃れたいからだろう。
 水棺が格納容器破損のため不可能となった後は収束のめどが立っていない。とりあえずは建屋地下にたまった高濃度汚染水を移送するしかない。移し替えても数日のうちにそこが満杯となる。そのうち建屋にたまった汚染水があふれ出し海洋に流れ出す可能性がある。核燃料はT,2,3,4号機で溶融しているから、核分裂再臨界の危険も否定できない。
 弦葉光一郎国家戦略担当大臣は3月14日保安院、原子力安全委員会の見解として「絶対にチエルノブイリ事故のようになることはありえない」と言っていたのだが、4月21日キエフでの国際会議で篠原孝農林水産副大臣は「チエノブイリと多くの共通点がある」と報告して注目された。スリーマイルもチエルノブイリも10日以内でほぼ終息した。福島は事故後3か月になろうとしている。その間、放射能は放出し土壌は汚染され続けている。

3 収束できるか
 2号機は現在、消防ホースをつないで注水中。東電は今月中に建屋に接する廃棄物処理建屋の熱交換器で循環させ、熱を冷却塔を通して逃すシステムを完成させると発表したが、5月24日、T号機に加え2,3、号機での炉心溶融が判明した。対策としては冷却水を循環させると同時に圧力容器の穴あきを塞ぐ以外にない。格納容器の中にははじめに起きた水素爆発による水素がまだ残っているであろう。それが次に原子炉建屋の上部ではなく圧力容器か格納容器の中で起きればチエルノブイリ事故のようになることも予想される。

4 癒着の構造「原発ムラ」
 地域独占と「総括原価方式」で守られた電力会社、原発メーカー、ゼネコン、鉄鉱会社などの素材メーカー、資金を融資する大銀行などの「原発利益共同体」(原発ムラ)の利益構造体が原発を推進し安全神話をふりまいてきた。それを支える機構が原発推進の経済産業省に所属する安全保安院と原子力安全委員会である。しかし、安全を監視すべき安全委員会の会員40人はまったくと言って責任を果たさなかった。彼らが招集されたのは事故発生から1か月過ぎた4月17日であった。しかも出席者は数人だけであった。
 電力会社、関連団体への官僚の天下りは恒例となっている。東電副社長のポストは経済産業省次官などの天下りの指定席となっている。その天下り官僚加納時雄氏は自民党参議院議員を2期12年務めその後は古巣の東電顧問になり東電の「使い走り」と揶揄されている。彼の2期目の選挙の時は原発メーカーの東芝会長、日立製作所社長、三菱重工業会会長がねじり鉢巻きで選挙応援した。石原武雄元通産事務次官は14基以上の原発増設を盛り込んだ「エネルギー長期基本計画」をまとめた張本人である。その彼が東電の副社長として天下った。

 自民党は1970年に建設された敦賀原発から2009年運転開始の北海道柏原発3号機に至るまで原発を推進してきた。原発を2倍3倍に増やし、MOX(プルトニウムとウランのミックス)核燃料サイクルも実施した。戦後初めて原発に予算をつけたのは中曽根総理である。

5 原発も対米従属
 アメリカは原子力を核兵器の製造と同時に発電用にも使用することを企てた(アイゼンハワーの国連での「アトムズフオーピース」演説)。原爆製造過程を利用して低濃縮燃料の原発用ウランを作り、日本に売りつけ原発を造らせた。その際、軽水炉の安全性は実証済みと偽って福島ではGEが設計した原発を造らせた。
 原子炉の燃料となるウランを固体化した燃料棒は「原子力燃料工業株式会社」熊取事業所で作っている。その業界シエアーは日本の原発燃料の40%を占める。この会社は住友電工の一部門として40年前に設立され、資本比率24%が住友電気、同じく24パーセントが古川電気、52パーセントが米国企業ウエスチングエレクトリックである。アメリカは原料となるウランのみならず、それによる燃料棒の製造と販売でも利益を確実に手にしている。ビキニ事件と原発とはかかわりがある。日本側が第5福竜丸の被ばくを不問にしてアメリカを非難しない代わりに米国は濃縮ウランと原発技術を提供するという約束を交わした。

6 原発は高くつく
 原発建設のためには3000億円から5000億円を要する。建設を受け入れた自治体には特別交付金を出して観光施設やスポーツ施設を作ってあげることになっている。その施設維持費は10年間だけ国が持つ。米軍基地建設を受け入れさせるときと同じ手法である。だが10年後にそれら施設の維持費用が負担となって自治体は財政難に陥ると、それに乗じてさらにもう一基造らせる。現在各地で原発がまとめて置かれているはそうしたことと、住民の反対のために新たな立地場所が見つからないことがある。自治体への無駄な支出を含めれば原発は高くつくのだ。まして事故の補償を加えれば莫大な国費の浪費である。失敗した「もんじゅ」には9000億円近い金がすでにかかっている。

7 使用済み核燃料は行き場がない
 現在、再処理工場がフル稼働しても、全国の原発から送られてくる使用済み核燃料はそのキャパシテイーを2000トン以上上回る見通しである。中間貯蔵施設(むつ市)も50年間置かれ続けてしまうことになる。再処理して取り出したプルトニウムが年8トンにもなる。その結果、六ヶ所村は危険極まりないゴミ捨て場となり、そこで事故が起きれば青森県は住むに住めないところとなる。アメリカでも使用済み核燃料プールは2015年までに満杯となる見通しである。使用済み核燃料処理場新設計画はすべて破綻している。使用済み核燃料は世界中行き場がないところまできている。
 高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)は原料としてウランより一層危険なプルトニウムをウランとともに使用し(MOX)、冷却材に水や空気に激しく反応するナトリウムを使用する。「もんじゅ」は80年代に造られた老朽原発である。95年にナトリウム漏れ火災事故を起こし停止していたが去年14年5か月ぶりに再稼働した。だが、その後も装置機材が落下するなど事故が絶えない。

8 チエルノブイリ事故と比べれば
 文部科学省は航空機モニタリングによって、放射性物質の地表面への蓄積状況をガンマ線測定し土壌地図にして発表した。その結果、チエルノブイリと同等のレベル7ということとなった。それについて「現状のままでは住民が戻れない地域が広範にわたって出るのは間違いない」と放射線防護学専門家の野口邦和氏は語っている。
 そのチエルノブイリでは、30キロ圏内はいまだに立ち入り禁止区域とされ、かつては13万5千人が住んだ土地は人類が住むことができない広大な荒地となっている。事故後に80万人もの労働者を動員し、コンクリート壁「石棺」によって封じ込めたにもかかわらず核は生き続け、その中の多量のウランとプルトニウムが石棺の分厚い壁を破壊し続けている。

☆14時36分地震発生、15時30分津波が襲う。そのご東電は廃炉と株主代表訴訟を恐れ、ベントと海水注入を躊躇い水素爆発を誘発した。

☆「原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期している」(2006年 阿部内閣の政府答弁書)。
「燃料が破損、放射能が外部に放出されるという事態に、設計の段階で安全評価をして、そういう事態に至らないよう、まず確認するというのが一番の基本」(2006年衆院内閣委 鈴木篤之原子力安全委員会委員長)。「多重防護でしっかり事故を防いでいく。メルトダウンを起こさないさまざまな仕組みを作っていく」(2010年衆院経産委 直嶋正行経済産業大臣)
――政府は国民の安全と財産に責任を持ち、そのための法律上の権限を有していることが原子力災害特別措置法、原子力規正法に書かれている。

今後の課題
「(サイト内)事故の沈静化、安定化は数か月から3年。作業環境の改善 (放射能気体、汚染水、瓦礫の処理に数か月から5年。原子炉建屋修復、密封性修復に1年。原子炉燃料取り出しに5年から10年。通常の解体は10年。廃棄物、破損燃料の保管10年。 (サイト外)放射線、放射能マップ作成にT,2か月。評価と対応策決定で6か月。環境放射能の除染に数か月から数年。住民の移住、土地問題など10年以上。風評被害対策に数年。放射線モニタリング(大気、土壌、海、米、魚、野菜など)10年以上。
事故の収束、環境対策、廃棄物処理と処分には新たな法的枠組みが必要。(事故対応に必要な化学技術、規制見直しにかかわること、低線量被ばくの長期的影響、長期の土壌汚染の影響、食物連鎖(陸、海)、汚染除去、低減化。廃棄物処理、処分、解体など技術開発。国際社会との協調による事故究明。原子力政策の見直し。原子力研究開発の見直し) (以上、前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長提出による資料から)

付帯資料(1)
☆貧弱な「再生不能」なウラン
 石炭を使い切るまでには1000年。天然ガスは次々と新たな埋蔵地が発見され、海底のメタンハイトレード(天然ガスを含む固体)は有望視されている。ウランは利用できるエネルギー量換算で石油の数分の1、石炭の数10分の1である。

☆ウラン原爆とプルトニウム原爆
 ウランのほとんどが「ウラン238」、そのうち核分裂するウラン「ウラン235」は7%である。その「ウラン235」を取り出すのが「ウラン濃縮」工程。そこで核分裂しないウランをプルトニウムに変換し、変換後の「プルトニウム239」で原爆を作る。そのためにワシントン州ハンフオードに巨大なプルトニウム製造目的の原子炉と、そこで生み出されるプルトニウムを分離する再処理工場が造られた。マンハッタン計画では、ウランを使う原爆とプルトニウム使用の原爆開発が進められ、1945年夏、米国は3発の原爆を完成させた。そのうち2発がプルトニウム原爆だった。その1発はポツダム会談に合わせて米国アラモゴルド砂漠で実験、もう1発のプルトニウム原爆が長崎に投下され(フアットマン)、ウラン原爆は広島に投下された(リトルボーイ)。

☆原発が生む膨大な放射能
 広島に投下した原爆で使用されたウランは800グラム。標準的な100万キロワット出力の原発は1年間の運転で1000キログラム、広島に投下された原爆の1000倍を超えるウランを燃やし、燃えた結果出る放射能廃棄物(死の灰)を溜め込むと同時に海洋に流し大気中に放出している。

☆チエノブイリ事故の場合
 出力100キロワットで1984年8月から稼働開始。その2年後、広島原発2600発分の死の灰(放射性廃棄物)を抱えた状態で暴走。炉心に蓄積されていた「セシウム137」の3割から4割、広島投下原爆の800発分の放射性物質を放出した。それにより、「放射線管理区域」は日本の本州面積の6割に相当する14万5000平方キロに及んだ。

☆原子力からの撤退
ウランはもともと貧弱な資源であり、その、成り立たない経済性、破局的となる事故、見通しの立たない廃棄物処理のために各国が撤退を始めている。フランスでも今後原子炉を作る計画はなく、ヨーロッパで計画されているのはフインランドの1基だけ。ドイツはすべての原子炉の停止とエネルギー政策の転換を発表した。アメリカでさえチエルノブイリ事故以来新たな建設を中止し、相当数の原発を停止し原子力からの撤退を始めている。

☆原子力産業の動向
 日本では三菱重工が加圧型軽水炉(PWR)メーカーのウエスチングハウスと組んで関西電力の原子炉を作り、東芝と日立がGEとの契約で沸騰水型軽水炉(BWR)を作り東電へ供給していたが、東芝は2006年にウエスチングハウスを丸ごと買収した。三菱はヨーロッパの加圧水型メーカー、アレバと事業契約を結んだ。原発業界の再編は中国、インドなどアジアの市場を狙ったもの。

☆原子力はすぐにやめても困らない
 電力の30パーセントが原子力によって供給されているのは、原発を優先して稼働させ、ほとんどの火力と水力発電所からの供給を停止させているからである。原発はランニングコストが他にくらべて格段に安くつくからである。原発が供給している電力を止めてその供給分を火力発電で賄ったとしても、火力発電所の設備利用率は7割程度である。日本では火力、水力、原発などによる供給電力総量の5割も利用されていない。半分以上が余っている状態である。だが電力はためておくことができない。では、電力の最大需要時にそなえるために余分な発電施設が必要なのか。しかし過去の実績によれば最大需要量が火力と水力の合計発電能力の量を超えたことは一度もない。

☆原発と原爆の現実
 1969年作成の外務省外交政策企画委員会内部文書「我が国の外交政策大綱」に、「核兵器についてはNPTに参加すると否とにかかわらず当面、核兵器は保有しない政策はとるが、核兵器製造の経済的、技術的ポテンシャル(能力)は常に保持するとともに、これに対する掣肘を受けないよう配慮する。また、核兵器一般についての政策は国際政治、経済的な利害得失の計算に基づくものであるとの趣旨を国民に啓発する」とある。さらに、「個人としての見解だが、日本の外交力の裏付けとして核兵器選択の可能性を捨ててしまわない方がいい。保有能力は持つが当面、政策としては持たない、という形で行く。そのためにも、プルトニウムの蓄積とミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかねばならない」。(以上は小出裕章著「隠される原子力」からの引用と要約)。
 中国が初の核実験に成功した1964年、外務事務次官村田良平は西ドイツ(当時)首相付き副長官エゴンパールと密かに会い両国共同による核兵器製造の相談を持ちかけたが同意を得ることはできなかった。その会談の席で原発が軌道に乗ったことに自信を持つ村田次官は純度の高いプルトニウム100キロ級(長崎投下原爆以上)の核爆弾10発が製造可能であることをエゴンパール氏に伝えている。

付帯資料(2)

☆1000度cc近くで燃料棒の被覆管のジルコニウムと水の化学反応が起きて水素が出てきて建屋の上の方に軽い水素が溜まってくる。それを抜くか、建屋から空気を抜いて窒素ガスに置き換えるかしないと爆発する。

☆原子力安全委員会は「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」として8キロから10キロ圏を決めていた。それによれば「あえて技術的に起こりえないような事態までを想定し、充分な余裕をもって原子力施設からの距離を定めたから、現実には起こり得ないとされる仮想事故などの際の放出量を相当程度上回る放射性物質の量が放出されても、この範囲の外側では屋内退避や避難などの防護措置は必要がない」

☆原発での作業員の被ばく線量上限は全身で100ミリシーベルト、目の水晶体は300ミリシーベルト、皮膚は1シーベルトと法律で決められていたのに、3月14日首相官邸の要請を受け入れて厚生労働省と経済産業省が急きょ検討に入り、文部科学省に諮問を答申させ半日のうちに被曝量の上限値を引き上げてしまった。

☆3月21日、海水採取の結果海水が、ヨウ素131、セシウム137、セシウム134、コバルト58、ヨウ素132、セシウム136が検出されたことによって海水が汚染されていることを発表したが、3月25日にはバリウム140も検出されたことを追加発表した。それ以後は3つのヨウ素、セシウム137、セシウム134以外は一切発表しなくなった。はじめに濃度の測定間違いがあったというのがその理由。バリウム140が出てしまったということは最も危険なストロンチウム90が出たことを意味する。それが出たのであれば、核燃料のウラン、プルトニウムも放出されたことが考えられる。

☆政府は8000億円かけて開発した情報通信衛星を使おうとしない。その画像を使えば地震前と地震津波後の福島原発の状況を捉えることができる。通信衛星の目的の第一は防災、二つ目が安保。フランスやアメリカは通信衛星からのデーターをとって解析している。 ☆福島第一原発は運転開始から40年ほどたって老朽化している。中性子照射をうけて圧力容器がもろくなっている。配管事態が減肉し、溶接部分、バルブで損傷が起きていたことが考えられる。

☆南相馬市では1号炉爆発後も、市から避難指示が出ていなかったので逃げたい人は自分で逃げてくれということだった。その時、原発の作業員が「塩水を入れろ」と言ったら「帰れ」と言われて帰された。何故かと聞いたら「塩水を入れたら廃炉になってしまうからそれはできない」ということだった。「そういうことを言う人は自分で家に帰れ、送っていくこともできない」、こういうことが作業員に通達されたそうです (南相馬一市民談)



地震と原発事故情報 その70

たんぽぽ舎です。転送歓迎です(2011/5/16 発信)

 
 ◆ 6つの情報をお知らせします(5月16日)

1.『東電が、140万kwを東北電力に融通
   なんだ!!東電の電力、余裕があるんじゃないか!』
2.『東電の夏の電力は不足しない・データは語る』
   市民エネルギー研究所―安藤多恵子さん講演(5/15)
3.『デモは横入り大歓迎よ』
   60代の足の悪い男性を守って歩いたら
   警官がいじわる(5/7)
4.『ドイツ気象局発表核物質拡散予報』
5.『サミットで管首相がまた余計なことを発表する。
   やめてくれー』
6.『ご案内2つ―5月18日集会と広瀬隆DVD特価』

★1.「東電が、140万kwを東北電力に融通」
 なんだ!東電の電力、余裕があるんじゃないか!

   東京電力は、被災した火力発電所の復旧などにより、8月末の電力供給力を従来計画に550万kw上積みし、5620万kwに拡大。供給不足が深刻な東北電力に東電から最大140万kwを融通する。
 東電の供給力については、中部電力の浜岡原発停止の影響が懸念されたが、東電が中国電力などへ支援を要請し、西日本から100万kwの融通を受ける計画は変更しない。
 東電は、5500万kwの供給力確保を目標に発電所の復旧を急いできたが、復旧にめどが立ち、目標を上回る供給力を確保できる見通しとなった。(デイリーニュース 5月13日号の要約)
*編集部:なんだ!東電の電力、余裕があるじゃないか、データを今まで隠して     たのか?東電の得意わざは、情報隠し。

★2.「東電の夏の電力は不足しない・データは語る」

  市民エネルギー研究所―安藤多恵子さん講演(5月15日)  2011年5月15日、明大リバティータワーで「福島第一原発事故で、起きたこと、わかったこと、これからのこと―」と題する講演会が開かれました。(主催:たんぽぽ舎、市民エネルギー研究所、(財)大竹財団、現代史研究会)。
 写真家の豊田直己さんからの現地の写真報告では、満員の観客(約250名)は、死に絶えた牛車の多数の牛たちに涙を禁じえませんでした。続く市民エネルギー研究所の小泉好延さんの講演(「福島第一原発事故で起きたこと、わかったことでは、貴重な生データ、現地写真の引用によって、これまでの国・東電の事故発表の不足と欺瞞が暴かれました。
 さらに、市民エネルギー研究所の安藤多恵子さんの講演、「東京電力は電力会社の資格があるのか」は、いかに「夏場に電力が足りなくなる」キャンペーンは「ウソ」であり、事業者として東電が資格を欠くとかという事実を、東電数字データによって明白に示してくれました。それによれば、全原発停止とした場合の東電の発電設備量は、停止中の火力の減少分を考慮しても約5497万Kw。それに対し、東電の今夏の発電設備量を市民エネ研が推定した結果は、約5500万Kw〜5700万Kw。その結果、「東電の全原発を停止しても、今夏の発電設備は間に合う」ことがわかりました。
 これまで東電は、たびたびの電力危機キャンペーンに加え、オール電化などを大々的にうたうことによって、電力需要の喚起を繰り返してきました。一番の問題は、もうけのために絶えず電力の需要を作為的に拡大し続けてきた電力会社側にこそあります。夏場の最大電力は数日、数時間のピークカット対策で間に合うことが、具体的な数字によって示されたのです。こうした東電を、安藤さんは事業者として失格、原子力で破綻した東電に送電、配電は任せられないと指摘。発電と送・配電の分離と、さらなる電力自由化を強く訴えました。そして、今後の見通しとして、「原発は廃炉へ、電力の地域独占体制を廃止する、需要を減らしながら、未来にとっても無理のない電源構成へ移行すべし」と、道筋を示してくださいました。
 講演はこの後、現地からの報告(柏崎刈羽原発現地・矢部忠夫さん、東海第二原発現地・相沢一正さん)を頂き、盛会のうちに終了しました。

★3.「デモは横入り大歓迎よ」

 60代の足の悪い男性を守って歩いたら警官のいじわる(5/7)
                            山田知惠子
 5月7日渋谷サウンドデモに参加しました。たんぽぽ舎はデモ出発隊列のすぐ横で、警察の妨害で出発が遅れていることなどをアナウンスしていました。すると、警官が「デモをやる人はフェンスの中に入って下さい!」「あななたちはデモに入りませんね!入りませんね!」と規制してきました。
 私が「それはあなたが勝手に決めたことでしょう。なんで従わなきゃならないの?!」と聞くと、「並んでる人がいますから」と言うのです。ディズニーランドじゃあるまいし、デモはよこはいり大歓迎なのよ!こちらが強く言うと、黙ってひきさがりました。
 今回のデモは沿道から参加する人が沢山いました。プラカードを持ったご夫婦が沿道を歩いていたので声をかけると、「どこに入ろうかと思って」とのことで「ここが最後ですから、入ってください」と言うと歩
道のフェンスを乗り越えて加わってくれました。
 また、渋谷の混雑した交差点でも若いカップルが入ってきました。二人の足取りは軽く、見ているだけの人から行動する人になったという感動を私も受けとりました。原宿駅あたりで一人の男性が入ってきました。この方は区役所前でたんぽぽ舎のパンフレットを買ってくれた人でした。年配で、アゴを固定し、杖をついていたため、「デモしたいけど、ムリだよねー」と言っていた方でした。きっと原発を止めなければという思いにかられて、なんとしても参加したいと思われたのでしょう。
 私たちたんぽぽ舎の横断幕を持った3人は1万人?デモの9995人目くらいの位置だったので、私たちがこの方と行かなければ彼はデモから取り残されてしまうと思い、一緒に進むことにしました。どのみち遅々として進まなかったし。ところが、警官は自分たちが邪魔をしてデモの進行を遅らせているのに、動くとなる>と「早くしてください。詰めてください。」と勝手なことを言ってくるのです。「足の悪い人がいるのが見えないの!?」「焦らせないで」と何度も言うのに、動くたびに追いたてるのです。すでに7時をまわり、暗くなってしまった中、東京都児童館あたりでした。今まで杖と傘を支えに黙々と歩いていた男性がたまりかねて、警官に「なぜ焦らせるんだ! 俺の前に行けばいいだろう!」と抗議しました。私たちも「あんたたちはずっと追い立ててきたから彼が怒るのは当然だ!デモは国民の権利なんだ。妨害するんじゃない!」と抗議しました。
 このような警察の妨害の中でも彼は長時間のデモを歩き続け、2度目のタワーレコード前あたりで、デモ終点まであと少しというところでしたが、「もう無理」とデモ隊から抜けました。周りにいたみんなは彼を拍手で送りました。彼にとても励まされたのです。  8時少し前にやっと終点についた私たちを、終わって帰る人たちや終点で待っていてくれた人たちが拍手や声援で迎えてくれ、とてもうれしかったです。
 今回、渋谷交差点の横断歩道から私の肩をたたいて激励してくれた方たちが次のデモでは一緒に歩いてくれる人になるのだろうと実感しています。

★4.「ドイツ気象局発表核物質拡散予報です」

 ドイツ時間表記なので日本時間換算するためには
    9時間足してください。

   http://www.dwd.de/wundk/spezial/Sonderbericht_loop.gif

この予想のデータは日本のSPEEDIによるものです。
   USTREAM 放射線測定「リアルタイム」
   Real-time update of radiation level
            "http://real-seo.net/radiation.html
 このURLを開くと現在、東京都新宿区、渋谷区セルリアンタワー内、港区六本木、埼玉県川越市、久喜市、神奈川県横浜市、千葉県一宮海岸付近、福島県郡山市、福島市方木田、茨城県水戸市、宮城県角田、に設置してあるガイガー・カウンターをWebcamを通してリアルタイムで見る事ができます。

★5.「サミットで菅首相がまた余計なことを発表する。辞めてくれ―」

 すでにご存知の方もいらっしゃることと存じますが、
来たるドービルG8サミットで、また余計なことを発表するとのニュースです。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110514-00000476-yom-pol
せっかく浜岡停止要請が決断できたのですから、敢えて国際社会に向けて余計なことを言わなくてもよいと思うのですが・・。OECDの設立50周年フォーラムでも余計なことを言うのでしょうか?
何か一言クギをさしておきたいところですね。(投稿より)

★6.「ご案内2つ――5月18日集会と広瀬隆DVD特価」

 ・5月18日(水)の案内―神田香織「チェルノブイリの祈り」、他(終了!)

 ・広瀬隆さんDVD-2枚セットで、1500円(2000円のところを500円おまけ)
  イ.3月26日講演DVD 広瀬隆 140分(頒価は、1000円)
 ロ.4月30日講演DVD 広瀬隆・子供を守れ、ほか(頒価は、1000円)
 *DVDは5月20日に完成。20日中に発送の予定です。
   *クロネコメール便のため、届くのに2〜3日かかると思います。
 *お申込みは、FAXかEメールで、3/26と4/30の区別、あるいは両方、
   必要な枚数とご氏名、送付先住所、電話番号をお知らせ下さい。
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地震と原発事故情報 その63

たんぽぽ舎です。転送歓迎です(2011/5/9 発信)

 
 ◆ 6つの情報をお知らせします(5月9日)

1.『5/7原発やめろデモ!の報告』
2.『5/7のデモに参加して・感想』
3.『5/7デモの画像をクリアに紹介:ブログのお知らせ』
4.『原子力推進側の解析書は予言していた
    津波が7メートルに達したら東電福島第一原発は
     望みなし(絶望)
    東京電力は事前にわかっていたのだ。』
5.『放射線アドバイザーに苦言殺到』
6.『5月第2週の日程・参加歓迎』


★1.「5/7原発やめろデモ!の報告」 (nanoha)

 5月7日渋谷「原発やめろデモ!!!!!」デモの報告。
 15000人参加、NHK・TBSが報道、警察が4名不当逮捕
 東京渋谷、普通の雨ではない雨が降った中1万5千人という人数が渋谷に集まった。サウンドカー4台、ものすごい勢いはまだまだ収まらない。
 高円寺1万5千人デモを警戒した警察のサウンドカーとデモ隊との間に計画的妨害作戦がありデモ隊を分断。混乱を呼んで4名の逮捕者がでる。そのうち2名は釈放され、2名は未だ釈放されず。ただ、サウンドカーに近づこうとした人を公務執行妨害として逮捕し未だに勾留する警察。まさに警察の不当逮捕。デモ参加者70人で代々木警察へ抗議応援にいく。
 デモの勢いを止めたい警察。でも!まだまだ収まらない勢い、これからもっともっと膨れ上がっていくだろう。
 6月11日さらに大規模なデモとなって、原発すべて止めるまで走り続けていく
だろう。歴史に残るほどの熱狂、怒り。こんなに熱いデモには参加せずにはいられない。

 不当逮捕の救援会HP:http://57q.tumblr.com/
(詳しい経緯を書いた声明、救援カンパ口座などが載っています。
 転送転載お願いします!)

主催のHP、デモ映像:http://57nonukes.tumblr.com/
NHK報道:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110507/k10015747191000.html
TBS報道:http://news.tbs.co.jp/20110507/newseye/tbs_newseye4719243.html
アサヒコム:http://www.asahi.com/national/update/0507/TKY201105070547.html
毎日新聞:http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110508k0000m040082000c.html


★2.「5/7のデモに参加して・感想」 (藤田祐司)

 「もんじゅ・西村裁判を応援する会」としてたんぽぽ舎と本日(5/7)のサウンドデモでチラシまき。集会挨拶も演説も抜き(チラシを沿道で配っていたのでそのように見えた。5,000枚まききる)。こんなのもあり。
 3時大音響の音楽と共に先頭集団出発。ただしなかなか進まない。
渋谷区役所沿道には何が始まるのかと大変な人だかり。こんな光景も始めて。驚くことばかり。
 みんなで最後の15団で5時出発。デモを小さく見せるためにぶつ切りでの
出発らしい。それでも1団600人程度。おおよそ1万人。スゴイ。
 マイクを持った人が思い思いに喋り、時折音楽が入り、シュプレヒコールもあがる。統制する人はいないが不思議に調和の取れたデモ。
 最後の私たちへは嫌がらせか出だしや信号でだいぶ待たせる。拡声器で柳田さんがデモへの理不尽な対応を落ち着いた調子で抗議すると行進再開。あとはスムーズに進み最終地点であり出発地の代々木公園へ無事到着。最初に出発した人たちが3時間近く待っていてくれてお出迎え。
感動ものだった。


★3.5月7日デモの画像を詳細に、クリアに紹介:ブログをお知らせします。
   Hiryu 写真日刊紙
      http://plaza.rakuten.co.jp/no23nit/

   是非ご覧ください。


★4.「原子力推進側の解析書は予言していた
   津波が7メートルに達したら東電福島第一原発は
   望みなし(絶望)
   東京電力は事前にわかっていたのだ。」
山崎久隆


 ・これまで東電社長などは「想定外の津波に襲われたから」とかなんとか言い逃れに汲々とし、なんとか賠償額を抑えようと必死の様子ですが、そう世の中甘くはありません。
 ちょうど米国のニューレグ1150と同様の確率論的安全評価(PSA)の手法を使った津波の影響評価がされており、とっくに一定の確立で炉心損傷することは分かっていたのです。
 福島第一原発の津波被災については、平成21年度地震に係る確率論的安全評価手法の改良=BWRの事故シーケンスの試解析=という表題の報告書に、地震や津波により原子炉炉心損傷が起きる確率の解析が載っています。
(PDFファイル) http://www.jnes.go.jp/content/000117490.pdf

・この中の「3.津波PSAの試解析」という部分が、今読んでも背筋が凍り付くことが書いてあります。
 特に3 - 11にある「図3.2 津波時のイベントツリー」を見ると、海水ポンプの破壊でもう炉心損傷が起こりえることが示され、海水ポンプが機能しても全交流電源喪失が回復しなければRCIC(原子炉隔離時冷却系統)継続運転不能により炉心損傷に至ることが書かれています。まさに福島第一で起きたことがそのままです。

 さらに3 - 8、3 - 9ページを見ると、「8時間以内の外部電源復帰」は津波波高が13メートルを超えたら「0.0」すなわち復帰の可能性ゼロと書かれています。
「図3.1 津波時の解析シナリオ」3 - 10ページは、今回の福島第一原発の運命を正確に記述していました。津波が海水ポンプを破壊し、さらに外部電源喪失に至った場合、もはや望みは絶たれていたと言うことを。もうちょっと詳しく引用します。「本解析条件のもとでは、津波の波高が一定値以上(防波堤の効果を考慮しない場合には約7m、考慮した場合には約15m)の場合に条件付炉心損傷確率がほぼ1.0 となり、炉心損傷頻度(相対値)は津波発生頻度(相対値)とほぼ同一となる。これは、それぞれのケースでこの波高を超えた場合に海水ポンプが機能喪失すると仮定していることによる。」

・解析はたった一つの、実に簡単なことを書いています。津波波高が7メートルに達したら福島第一原発に望みは無かったのだと。そして実際に津波が来てしまったこと、そして波高が7メートルを超えていたこと。それが全てだったのです。防波堤の効果は、期待は出来ません。なぜならば
福島第一の防波堤は5.7メートルしかなかったからです。7メートルを超えれば
全て同じということになります。
 この後、どのようにしすれば最悪のシナリオを脱することが出来るのかに
ついては、この報告書には一切書かれていません。なぜならば、この報告書の任務では無かったからです。

 東電は知っていました。このような事態になることを。そして最悪の事態を回避
したいのであれば、別に外部電源を引き入れて、冷却ポンプを動かせば良いことも。
そうしていればもしかしたら炉心は破壊されても大量の放射能放出は回避できた
かもしれないのです。TMI(米国スリーマイル島原発事故、レベル4)レベルで
回避できたかもしれなかったのです。海や大地をこれほどまでに汚染せずに
済んだかもしれないのです。報告書が作成されたのは昨年12月でした。


★5.「放射線アドバイザー山下俊一氏に苦言殺到」
  (OurPlanetTVさんから届けていただきました。
  是非ご視聴ください)

 5月3日に二本松市で開催された山下俊一放射線アドバイザーの講演を取材してきました。 後半の質疑で、彼のこれまでの発言に対し、厳しい質問が相次ぎました。

 「100ミリ以下は安全」放射線アドバイザー山下俊一氏に苦言殺到
    http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1037


★6.「5月第2週の日程・参加歓迎」
終了!
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地震と原発事故情報 その56

たんぽぽ舎です。転送歓迎です(2011/5/4発 信)

 番組のご案内「子どもを襲う放射能の不安」

本日(29日)放映された番組について、お知らせします。

 タイトル:「子どもを襲う放射能の不安 - 学童疎開は必要か」
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1024

=====================
 文部科学省は4月19日、福島県内の子ども被ばく許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げた。
 これまで、一般の人の被ばく許容量は1ミリシーベルト。放射線管理区域の5ミリシーベルトを大きく上回る数字だ。そして、市民による調査で、赤ちゃんに飲ませる母乳からも放射性物質が検出された。福島市や郡山市といった大きな町で、今、チェルノブイリの退避地域よりも高いレベルの放射能汚染が広がっている。
 子どもたちを被ばくから守ろうと取り組むお二人のゲスト(大賀あや子さん(大熊町在住/ハイロアクション/母乳調査・母子支援ネットワーク)、阪上武さん(フクロウの会:福島老朽原発を考える会)を迎え、原発事故の影響を考える。ネットテレビのアワープラネットの番組が朝日ニュースターのチャンネルで放映されました。  

<朝日ニュースター>再放送
http://asahi-newstar.com/web/
4月30日(土)18時から/5月1日(日)10時から、24時から/5月4日(水)11時から

<OurPlanetTV>
http://www.ourplanet-tv.org
4月29日(金)23時15分配信開始

OurPlanetTVでは、DVDもご用意しています。(1000円)
お申し込み TEL:03-3296-2720/Emal:info@ourplanet-tv.org
※SHOPからもお求めいただけます
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1025


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地震と原発事故情報 その34

たんぽぽ舎です。転送歓迎です(2011/4/8 19:08発信)

  7つの情報をお知らせします。

1.支援物資を送るときは、現地の状況を配慮して送ろう!
2.原発震災が支援・復興の最大の障害に
3.反原発広がる - 地方議員が連帯呼びかけ -
4.東京電力本社前抗議行動の意義は大きい!
5.『仮に電力不足で生活が不便になるとしても、私はもう
   原子力発電はいらない!』
- たんぽぽ舎サイトの読者(女性)より -
6.低線量内部被曝の翻訳本ができました
7.半日でわかる 原発の基本講座 4月17日(日)午後へのおさそい(再)


1.支援物資を送るときは、現地の状況を配慮して送ろう!
    - 出来れば現地の情報を手に入れ、役に立つものを、的確に! -
(たんぽぽ舎ボランティア)

 たんぽぽ舎ボランティアの自宅へ、下記内容の回覧が回ってきました。これを
機会に、現地に支援物資を送ることについて考えてみたいと思います。

 「沿岸被害地支援を行なっている私の所属するNPO法人遠野山・里・暮らし
ネットワーク事務局によると、被災地の方々が求める支援物資に変化が出てきて
いるとのこと。大量の支援物資が遠野の中継基地に届きつつあるものの、避難所
や家が流されるのを免れ自宅にとどまっている方々(彼らが今本当に困窮し始め
ています。)が、今1番求めているのは、各家庭単位の生活用品のパッケージで
す。家族単位の家庭用必要雑貨などの物品を1つの段ボールに詰めた物で、
「島原方式」と言うそうです。以下、略。」

 しかし、物資を運ぶ人員、物資を送り過ぎることから生じる現地の混乱を
想像し、早速、発信者に電話で確認してみました。
 やはり、NPOの人手、物資を届ける車、また現時点では、こちらのボランティア
情報を受けとるPC用電源が不安定だそうです。
 各々の避難所の場所と状況、被災した家庭それぞれの状況を出来たら確かめつつ、
我々は、是非現地の真に役に立つ物資支援をしたいですね。


2.原発震災の罪、原発さえなければ
(2011.4.8 毎日新聞「発信箱」よりご紹介します)

 「未曾有」という言葉が、ちまたにあふれている。巨大地震と大津波による
甚大な被害に、原発事故が重なり、かつてない深刻な「多重災害」の様相を
呈している。特に原発事故は制御困難な異常事態に陥り、放射性物質が漏れ続け、
国内外に不安を広げている。

 今、新聞のテレビも雑誌も、トップニュースは原発が中心にならざるを得ない
事態だ。放射性物質が各地へ広がるという前例のない事故に、社会の関心が集まる
のは当たり前。しかし、その分、避難所で、肉親を亡くしたり行方不明の家族を
思い夜も眠れぬ人の声を伝える紙面や時間が減り、「本当に困っている人が
置き去りにされているのではないか」と自問自答している。「原発事故さえ
起きなければ」と思わずにいられない。原発震災の罪は、本当に重い。


3.反原発広がるか 地方議員が連帯呼び掛け
(2011.4.6 東京新聞の要点)

-「反原発自治体議員連盟(準備会)」共同代表布施哲也(清瀬市議)が会見-

布施市議は、福島第一原発事故を受け、開会中の清瀬市議会に、中部電力・
浜岡原発の即時運転中止を求める意見書を提案、3月24日、賛成多数で可決された。
原発に直接関係のない自治体議会がこうした意見書を出すのは異例である。

布施市議が共同代表を務める「反原発自治体議員連盟(準備会)」は、原発を
抱える自治体議員が呼びかけ人となり、昨年から準備を始め、61人の参加で
今年1月発足、5月22日午後東京での正式発足を目指している。

福島原発の問題解決が混迷を深める中、統一地方選の投票日が近づきつつある。
最後に、布施市議はこう述べた。「被災した人が関東地方にも避難している。
地方自治は、住民が安全に暮らせることが前提で、その上に福祉や教育が成立する。
遠くのことではない自身の問題と意識すべきだ。浜岡原発は脱原発に向けた一歩と
なるだろう」


4.東京電力本社前抗議行動の意義は大きい!
(一人の参加者より)

 東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質漏洩大事故は、地域住民を中心に、
日本はもとより海外でも大きな問題となっており、反原発の大きな世論が作られ
ようとしています。私は、昭和18年生まれの67才の爺さんですが、4月3日に
東電本社前で抗議行動とライブがあることを知り他の行事への参加を中止し、
この抗議行動へ参加しました。参加してみて、この抗議行動がフリーターの
園良太さんの呼びかけで始められたものであること、今回が9回目の本社前行動で
あること、当初は5人位の参加者であったが、その輪が確実に広がっていること等を
知りました。

 この抗議行動の一番すばらしいことは、相手の嫌がる、特に大企業が嫌がる
本社前を取り組みの拠点にしたことです。
 抗議行動運動の原点は「相手が嫌がることを粘り強く行なうこと」であり、
それが本社前抗議行動の一番の意義であります。
 二つ目の意義は、意見のある方が自由にものを言える(園さんが主張する、
東電前では誰もが主役)点にあります。 

 若者が中心になり呼びかける取り組みには、多くの若者、特に若い女性が参加
します。今回も全くその通りでした。
 9条世界会議での若者の活躍は素晴らしかったが、今回はそれをさらに上回り、
国民の多くを巻き込み、日本にとって一番危険な原発をやめさせる大きなうねり
になるような気がしてなりません。本当に素晴らしいです。


5.たんぽぽ舎の皆様へ
(たんぽぽ舎サイト女性読者Kさんより)

 いつもサイトを拝見しています。
たくさんの有益な情報を発信してくださって、とてもありがたく思っています。
4月10日のデモに参加できればいいのですが、小さな子供がいて参加することが
できません。ただ何かをしなければ、という気持ちでこれを書いています。私は
原発の危険性は広瀬さんの著書等で知ってはいましたが、これほどの事とは思って
いませんでした。原発がこんなにも人の手に負えないものだったなんて。
私達の生活はこんなに危険なものに頼って成り立っていたなんて。
今まで深く考えずに暮らしていたことを、悔やんでいます。

 私には毎晩子供達に歌っている歌があります。

 〔朧月夜〕

  ♪ 菜の花畠に 入り日薄れ -  ♪
       (中略)

 今回の福島原発の事故のために、故郷を永遠に失うかもしれない人たちがいる
ことを心から悲しく思います。
私達は先祖代々から伝えられてきた美しい土地と空気と水を、放射能で汚して
しまいました。この歌の風景を未来の人達に残すために、今それぞれが出来ること
を精一杯やらなければならないと思っています。仮に電力が不足して生活が
不便になるとしても、私はもう原子力発電所はいらない。
安心して暮らせる土地と空気と水を失って、何のための経済発展でしょうか。

今、脱原発を決断しなければ、次が起こってからでは遅いのです。
その時にはもう、日本には人が住めるところがなくなってしまうのですから。
東京の人達、どうか立ち上がってください。
東京が動けば国に、世界に、私達の意思が伝わることになると信じます。


6.低線量内部被曝の翻訳本が出ました

たんぽぽ舎ボランティアの竹野内真理さんも、肥田舜太郎先生と共に翻訳を
されています。高価ではありますが、肥田先生渾身の訳書でもあります。
皆さん、広めてください

以下は紀伊国屋のページです。
(アマゾンでは福島原発事故を受けてか、一時的に在庫切れです)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4846111059.html
 
「低線量内部被曝の脅威 - 原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録」

原書名:The Enemy Within:THE HIGH COST OF LIVING NEAR NUCLEAR
REACTORS;BREAST CANCER,AIDS,LOW BIRTHWEIGHTS,AND OTHER
RADIATION‐INDUCED IMMUNE DEFICIENCY EFFECTS(Gould,Jay Martin;MEMBERS
OF THE RADIATION AND PUBLIC HEALTH PROJECT;Sternglass,Ernest
J.;Mangano,Joseph J.;Mcdonnell,

グールド,ジェイ・マーティン【著】〈Gould, Jay Martin〉
肥田 舜太郎 齋藤紀 戸田 清 竹野内 真理【訳】
緑風出版 (2011/04/15 出版)


7.半日でわかる 原発の基本講座 4月17日(日)午後へのおさそい(再)

 日 時:4月17日(日)午後13:00 - 17:30(開場12:30)
  会 場:東京学院4階 JR水道橋駅西口下車・2分 TEL 03-3261-0017
     ・「源八おじさんとタマ」上映 10分 (中村とおる作)
 内 容(仮):イ.福島原発事故 - どうなっているか(現状)、今後は(見通し)
             山崎久隆さん
        ロ.放射能の種類と人体への影響  原田裕史さん
       ハ.原発なしで電気は大丈夫(交渉中)
       ニ.今後の方向  天野恵一さん、柳田真さん、園良太さん
       ホ.質疑・討論  参加者全員
 定員・先着:120名。参加費1,000円 資料を用意します。
 共 催:たんぽぽ舎 TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
         反安保実行委員会 TEL・FAX 03-3254-5460


▲たんぽぽ舎からのお願い
     ・現在、たんぽぽ舎への電子メールが毎日200件以上届いていて、
  処理するのが大変です。パンフや書籍のご注文は、FAXの方が
処理が早い場合があります。よろしくお願い致します。
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警察権力の不当な規制を撥ね退け
  青年労働者が東電糾弾に起ちあがる


たんぽぽ舎です。転送歓迎です

 3月20日午後1時、東電本社へ抗議行動に来た3人に対して20人近い警察官が立ちふさがった。
他の人たちは通行できるのに我々だけは道路を渡って反対側に行けと命じる。
「どういう法律や条例に基づいて通さないんだ」と何度も抗議しても何も答えず、仲間のひとりを3人がかりで引きずって道路の反対側に連れて行く。
50人を超す警察官が警備する東電本社に向かい、その責任を糾弾し、すべての原子力被災者に謝罪し補償すること、またすべての原発を止めることなどを要求した。
通行する市民に福島原発事故が想定外ではなく、また天災でなく人災であること
などを訴え、ビラを渡した。受け取る人が多く、特に子供連れの母親はほとんど取ってくれる反面、「原発は必要なんだよ」と反発する者もごく少数ではあるが
現れ、反応が明確に出ていた。
フリーター労組の若者を中心につぎつぎと参加者が現れ、USTREAMはライブで中継し、またTBSなどの民放もカメラを回し(たぶん放映はなし)、台湾の記者も取材していた。

 福島の被曝者、とりわけ子供たちの事を考えると胸が張り裂ける思いです。
天災の津波と人災の原発事故で被災した東北地方の人達の生活はまったく先が見えません。
福島原発事故は首都圏の経済も直撃します。私はタクシー労働者ですが、規制緩和、不況、リーマンショックで営業収入はがた減りで、職場では過労に
よる脳梗塞などの死亡が相次ぎ、生活苦による首つり自殺もあります。

3.11以後営業収入は一段と減り、「生活保護か死ぬかどっちかだよ」という声がでています。まさしく人々の命と暮らしを破壊する原発です。
 しかし今回の青年労働者を中心とした東電糾弾行動は規模は小さくても反原発
運動の可能性を切り開く戦いでした。

 当日の行動はUSTREAMで見ることができます。
http://www.ustream.tv/recorded/13441127
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※たんぽぽ舎より、メールマガジンを発信中。
 今、「地震と原発事故情報」を1日に2回ほど、発信しています。
 希望者は、たんぽぽ舎あて、Eメールアドレスをお伝え下さい。
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地震と原発事故情報 その(13) 
気象庁発表の怪?

たんぽぽ舎です。転送歓迎です

東北地方太平洋沖地震はM8.4だった
『従来からの気象庁マグニチュードなら、M8.3からM8.4だった』
 地震学者島村英紀氏が指摘。ほか3つの情報



1.3月18日の「地震と原発緊急集会」は、予定されていた明大リバティが全館使用出来なくなったため場所を急遽、東京学院に変更し午後6時30分より開始した。
開始時間前から続々と参加者が集まり、およそ130名の熱気に包まれた。
まず、地震学者の島村英紀さんのレジュメから、冒頭の1節を引用する。


●今回のマグニチュード9.0というのは、気象庁がそもそも「マグニチュードのものさし」を勝手に変えてしまったから、こんな「前代未聞」の数字になったものだ。
 いままで気象庁が採用してきていた「気象庁マグニチュード」だと、いくら大きくても8.3か8.4どまり。それを私たち学者しか使っていない別のマグニチュード、「モーメント・マグニチュード」のスケールで「9.0」として発表したのだ。
 すべてのことを「想定外」に持っていこうという企み(あるいは高級な心理作戦)の一環であろう。


2.「想定外」と思わせるための大陰謀
  気象庁Mw発表の怪? 
                       柳田真コメント

◆島村英紀さん(地震学者)の指摘(従来の気象庁MjならM8.3かM8.4)は
今回の東日本大震災の報道を根本からひっくり返す重大事実です。
気象庁がずっと使ってきている気象庁マグニチュードをなぜ「今回」「突然に」しかも「説明なし」で変えたのか?

◆それは、M8.4なら「想定内」であり(例えば浜岡原発はM8.4の東海地震に耐えると中部電力は公表している)、原発推進側全部(電力会社・政府・御用学者)が責任を問われるからだ。M8.4の地震のエネルギーは、M9.0の8分の1になる。

◆原発推進派と政府は、M9.0と発表することで「想定外」を強調し、あるいは「1000年に1度の地震」という言い方で責任逃れをはかっている。
許せない!「世紀の大陰謀」だ。情報操作であり世論誘導だ。

◆広瀬隆さん(作家)も「想定すべき人災=想定内だ」と指摘している。

◆「従来の気象庁発表ならM8.4の事実」をキチンとひろめ、政府と電力業界
の「想定外」(ゆえにやむを得なかった面がある)を追及しよう。
※注1:Mj…気象庁マグニチュード
※注2:Mw…モーメント・マグニチュード
※注3:地震のエネルギー総体を表すには、本来はMwがよい。ただ、それを心ある学者が要求しても気象庁が長年採用しなかった事実がある。
これらの点は次号の情報をお待ち下さい。

3.自民党総裁が「原発推進は困難」 

 自民党の谷垣総裁は3月17日の記者会見で福島第一原発の事故に関して、今後は原発を推進するのは困難になるとの認識を示した。自民党はこれまで一貫して原発を推進する立場だったが、谷垣氏の発言は同党の基本政策の修正の可能性を
示したものと報道された。
 谷垣氏は「日本のエネルギー事情を前提とする限り、ひとつの解答は原子力だが、現状では推進はなかなか難しくなっているのは事実だ」と発言。
 原発反対派をさまざまな手を使って押しつぶし、「絶対安全」と力づくで強力に推し進めてきた自民党の発言は腹立たしくもあるが、自民党総裁が見直し発言
をしなければならない程、福島原発の事態が深刻であることの証拠だ。この深刻
な事態に対し民主党は何の反応もみせていない。国民世論を考え、国民にむけたメッセージを何も出せていない。完全に自民党に先を越されてしまっている。
まったくどうしようもない。

4.市民からの声
 原発やめて新たな電力供給方法を
             主婦 中村智子 54 (宇都宮市)

 東京電力のホームページで、「原子力発電の安全性」を読みました。
原子炉固有の自己制御性や、安全対策の考え方が詳しく説明されていますが、今回の福島第一原子力発電所の1号、2号、3号機などを見ている限りでは、ホームページの説明も、テレビCMもすべてに嘘と欺瞞を感じてしまいます。 
 広島、長崎の不幸な歴史をもつ日本が直面している、今の原子力発電所の目を覆うばかりの惨状をどう受け止めたらよいのか。
 私の住む場所は福島原発から百km、母が住む町は五十kmですが、風の流れがとても気になります。テレビからの情報ではとても切実に感じます。
 (中略)
 しかし、今の惨状を重く受け止め、原子力に頼らない電力供給の方法をどこの
国より早く考え、実行することこそ日本の課題だと感じています。
 (東京新聞の投書欄から3月17日朝刊)

──────────────────────────
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地震と原発ニュース その(6) 3つの情報

たんぽぽ舎です。転送歓迎です

1.写真家の森住さんの
「福島第一原発双葉町レポート」です。
  皆さんから質問の多い放射線の記述が載っているので紹介します。
ご本人の了解を得て転送いたします。
----------
 皆さん
 写真家の森住です。

 いま福島第一原発の町双葉町の取材から帰ってきました。
 双葉町役場や双葉厚生病院はすさまじい放射線が出ていました。
 チェルノブイリ事故の現場から二〇〇メートルのところより酷い。測定器は振り切れてしまった。
 町はゴーストタウンになっている。
 住民は慌てて逃げ出した様子だ。
 病院は玄関前にストレッチャーが斜めになったり、輸血用ビニールパイプが散乱していた。
 住民は放射線が出ていることを知らず町に入って,布団や衣類を取りに戻る人もいた。
 彼らに危険だから早く避難してと訴えた。

 ちょうど、東電が3号炉のガスを放出したと発表した直後に我々は双葉町に入っていったことになる。
 しかし、双葉町に入る道には検問もなく誰でも入ることが出来た。
 森住卓フォトブログに写真をUPしました。
森住 卓
Takashi Morizumi<takashi@morizumi-pj.com>

森住卓のフォトブログ
http://mphoto.sblo.jp/


2. 原発震災提唱の地震学者が、信濃毎日紙で指摘

    3月13日の信濃毎日新聞紙上で、神戸大学名誉教授で、原発震災の危険の
    提唱者の石橋克彦氏が鋭い一文を載せています。その要点を紹介します。
  見出しは、「原発震災」 政府に甘さ
  地震学という人知が、まだ大自然には到底およばない、と痛感すると述べる。
  日本の地震学の第一人者が言うのである。結びの言葉は、地震列島日本ゆえ、運転中の全原子炉もいったん停止して、総点検する必要がある、と述べる。


3.柏崎と浜岡現地

各地原発地元反対団体が東京電力柏崎刈羽原発と、中部電力浜岡原発の即時停止申し入れをしています。柏崎刈羽が新潟県知事、柏崎市長、刈羽村長宛、浜岡が中部電力社長、静岡県知事宛の申し入れです。
☆2つの団体の声明文が必要な方はお送りします。

東京電力柏崎刈羽原発の運転停止を求める緊急申し入れ
柏崎原発反対地元三団体
原発からいのちとふるさとを守る県民の会
浜岡原発、即座、無条件停止の緊急の申し入れ
& 浜岡原発を考える静岡ネットワーク

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特集・「ガザ支援船へのイスラエルの蛮行の実体」

乗船者からの体験報告

コリン@パリ(Date: 2010/06/03) 6:56

支援者の逮捕と暴行

コリン@パリです。(転載歓迎)
イスラエルは、すべての外国人の拘束者は国外追放にした、と発表しました が、私たちの仲間トーマと他のフランス人たちは、ベン・グーリオン空港の 収容センターで拘束されたままです。弁護士を通して情報を確認中です。た ぶん、不法入国したという証書にサインをさせられるのを拒否しているせい かも知れません。その証書にサインした多くの参加メンバーは帰還していま すが、4人のイスラエル・アラブ人の消息が知れません。彼らは複数の罪状 で嫌疑をかけられており、少なくとも8日まで拘束されるようです。

乗員の内訳:全乗組員:682名 42カ国の国籍
トルコ人:380名
ギリシャ人:38
イギリス人:31
ヨルダン人:30
アルジェリア人:28
スエーデン人:11
フランス人:9
アイルランド:7
イタリア:6
カナダ:3
その他、モロッコ、クエート、バレーン、シリア、マレーシア、アゼルバイ ジャン、インドネシア、パキスタン、モーリタニア、イエメンなど

▼45名は既に国外追放。大半のアラブ系の人たちは、アレンビーからヨルダン 方面へ、トルコ人は、テル・アヴィヴ空港から帰還。
http://www.lemonde.fr/proche-orient/article/2010/06/01/israel-face-aux-temoignages-des-militants-et-a-la-colere-de-la-communaute-internationale_1366352_3218.html

救援船に乗ったイスラエル議員に
右派の女性議員から非難のヤジ

 今回のフリー・ガザ船団に乗り込んでいたバラド党ハナン・ゾアビ国会議員 (アラブ系イスラエル人)が今日の国会で、イスラエル政府の行為は海賊行 為と同じであると非難すると、<ガザにいけ!売国奴!>と右派の議員から 猛烈な勢いでヤジが飛んでいます。右派の女性議員からは、ゾアビ議員が二 重の罪を犯している。すなわち、<テロリストのグループに合流し、イスラ エル国家に対して倫理的な罪を犯している><言論の自由を狭めるつもりは ないが、これは言論の自由とは関係がない。フリー・ガザ船団はテロリスト の船団であり、ゾアビ議員は罰せられるべきだ。クネセットにトロイの馬は 必要ない>と。
ヴィデオ画像で国会討議が見れます。ヘブライ語のみ

帰還した乗組員の証言例:


ヘニング・マンケル(スエーデン人の有名な推理小説家)
 <我々は、公海とガザ領海の境界で問題が起こるだろうと予期していたが、 間違った。問題はその境からはずっと前の公海上で起こったんだ。彼らはし 知性のある武器を使いながら攻撃することを全く躊躇しなかった。…私が 乗っていた船には武器など何もなかった。唯一のものは、私のひげ剃りだ。 そしてそれを取り上げた。我々は、どんな次元にいたか分かるよ。…我々は 海賊にあったんだ。そしてさらわれたんだ。我々の誰一人として、イスラエ ルに行くつもりなどなかった。我々はまさに拉致されたんだ。そして、イス ラエル当局は、イスラエルに不法侵入したと非難している。
http://www.liberation.fr/monde/0101639101-des-tirs-sans-sommation-de-pirates-en-haute-mer

スエーデンみどりの党国会議員メフメット・カプラン
<私たちは、床に乱暴に押し倒されて、身体に上乗りになって頭を押さえつ けられました。顔は引っ掻き傷だらけになり、手を縛られ、連れて行かれま した。

モロッコ国会議員アブデルカデール・アマラ
 起こったことは信じがたい。イスラエル兵たちが、我々を殴り、冷血にト ルコの活動家たちを殺したやり方はホーラー映画そのものだ。彼らは捕まえ ることができたはずだ。イスラエル兵たちは実弾を使い、我々は全く武器も 持っていないのに、世界の狂気と野蛮さをみせた。イスラエル兵たちはある 乗員を銃床でなぐり、その上、殺した。船に攻撃してくる前に何の予告もし なかった。全く悪夢だった。
モロッコ国会議員アブデルカデール・アマラ氏のURL

ドイツ国会議員、アネット・グロット(デア・リンケ党)
 私たちは全く戦争の中にいるようだった。特殊部隊からのこれほどの暴力 と粗暴さを誰も予測していませんでした。
同上、ノルマン・パエチ
 乗組員たちは、誰も暴力を行使しませんでした。なぜって、イスラエル兵 たちに勝てるわけがないからです。
ノルマン・パエ氏のURL



特集・「普天間問題、第二の声明、ご賛同のお願い!

『世界』編集部

「普天間問題、第二の声明、ご賛同のお願い!

『世界』編集部 sekai@iwanami.co.jp

 年初には、普天間移設問題に関する声明にご賛同いただき、 ありがとうございました。

 その後の推移を見て、呼びかけ人は第二の声明を出すべきだと 考えました。そして今回は沖縄の人たちとも共同して 声を挙げようと考えました。

 沖縄にも、本土にも、代替基地を受け入れることはもはや 無理であり、それは米海兵隊の撤退を求める以外にありません。 今回は、その主張をはっきりと打ち出しました。

 4月23日、東京と那覇で同時に発表しました。

 下記のフォームにアクセスし、署名して返信してください。
また出来るだけ多くの方々に転送してください(目途として 5月20日を考えております)。
英訳したものもあり、国際的な署名も求めていきます。

 いま、日米安保と米軍基地を変えていく、決定的に 重要な時点に来ています。よろしくお願いします。

 声明呼びかけ人(世話人) 岡本厚

                     http://form1.fc2.com/form/?id=501657一般署名
http://form1.fc2.com/form/?id=539738英語署名

米海兵隊は撤収を

--【普天間基地問題についての第二の声明】--
 賛同署名 4月29日現在1812筆
下記声明に賛同される方は最下段に署名をお願いします。
なお、この賛同署名は総数公表とし、個々のお名前は公開しないものと致します。
------(開始:2010年4/23日、 第一次集約:5月20日 )-----

 米海兵隊普天間飛行場は、住宅密集地の中にある世界でもっとも危険な基地として、すみやかな閉鎖、撤去が求められてきた。旧自民党政権は、普天間の移設先として、北部名護市の辺野古(キャンプ・シュワブ沿岸部)に代替基地を建設することを米国との間で「合意」したが、それは、沖縄の中に新たな巨大基地を建設することに他ならず、沖縄県民はあらゆる機会にそれに反対する意思を表明してきた。

 2009年秋の政権交代と、民主党の「国外、最低でも県外(移設)」という選挙での訴えが、沖縄県民に希望を与え、状況を大きく変えた。2010年1月の名護市長選挙では、辺野古への移設に反対する稲嶺進候補が勝利した。2月には、これまで移設を容認してきた自民党、公明党を含め、沖縄県議会が全会一致で「普天間基地の県外移設」を求める意見書を採択した。また県内41市町村長全員が県外・国外を主張している。保守が擁立した仲井真弘多県知事も「県内(移設)は厳しい」と語り始めた。沖縄は、いまや“オール沖縄”で「県内移設」反対を明確にしたのである。

 しかし、2010年5月まで「決断」を先送りした鳩山政権は、県外移設の可能性を真剣に追求することなく、キャンプ・シュワブ陸上案や勝連半島沖埋め立て案など、「県内」を軸に決着することを図り、動き始めている。
 私たちはこの政権の動きを深く憂慮し、以下のように声明する。(呼びかけ人のうち18人は、2010年1月に発表した本土の学者・知識人声明の呼びかけ人である。沖縄でもすでに学者・知識人による海兵隊撤収要求の共同声明が出されており、その意味でこれは合同での第二の声明ということになる)

(1) 私たちは、辺野古陸上案(キャンプ・シュワブ内)、勝連半島沖案はもちろん、すべての沖縄県内移設に反対する。これ以上沖縄に過重な負担をかけてはならない。沖縄の意思を無視してはならない。沖縄の環境を破壊してはならない。

(2) 民主党は、衆議院選挙で「国外、最低でも県外」を訴えた。また名護市長選では、辺野古移設反対を主張する稲嶺進候補を推薦し、勝利させた。鳩山政権が、県内移設で決着させるならば、それは明確な公約違反であり、国民・県民への裏切りといわなければならない。鳩山政権は、仮に現在の日米安保体制を前提にするとしても、まず県外移設の可能性を徹底して追求すべきである。

(3) 県外でも県内でも移設を受け入れる地域がなかった場合、現在の普天間飛行場をそのまま継続使用するという案が出ているが、それは許されない。周辺住民の生命と暮らしを脅かしているこの危険な基地は、すみやかに閉鎖されなければならない。

(4) 県外移設を追求した結果、どの地域も受け入れないということならば、日本国民には海兵隊の基地を受け入れる意思がないということを意味する。必然的に米海兵隊は日本から全面的に撤収する以外にない。日本国民には、米海兵隊の存在なしに、東アジア地域の平和と安定を構築する積極的な役割を果たす意思があるということである。米国は、日本国民の意思を尊重しなければならない。

(5) そもそも政権が奔走し、メディアが関心を集中させたのは、「基地用地」探しばかりであった。いま考えるべきことは、本当にそのようなことなのだろうか。むしろ冷戦時代の思考法である「抑止力」とか「敵」とか「同盟」といった発想そのものを疑い、その呪縛から逃れることが必要なのではないか。国際社会に「共通の安全保障」や「人間の安全保障」といった考え方が現れ、冷戦の敵対構造を解体していく大きな力になった。私たちは、米軍基地の代替地をタライ回しのように探すのでなく、米軍基地を沖縄・本土に存在させ、米軍に勝手気ままに使用させている構造こそを問わなければならない。日米安保条約は、冷戦時代の遺物であり、いまこそ、日米地位協定、ガイドライン(日米防衛協力の指針)などを含めて、日米安保体制を根幹から見直していく最大のチャンスである。その作業を開始することを、日本政府、そして日本国民に訴える。

〈呼びかけ人
宇沢弘文(東京大学名誉教授) 遠藤誠治(成蹊大学教授) 岡本厚(岩波書店「世界」編集長) 加茂利男(立命館大学教授) 川瀬光義(京都府立大学教授) 古関彰一(獨協大学教授) 小林正弥(千葉大学教授) 小森陽一(東京大学教授) 千葉眞(国際基督教大学教授) 寺西俊一(一橋大学教授) 西川潤(早稲田大学名誉教授) 西谷修(東京外国語大学教授) 原科幸彦(東京工業大学教授) 前田哲男(評論家) 水島朝穂(早稲田大学教授) 宮本憲一(大阪市立大学・滋賀大学名誉教授) 山口二郎(北海道大学教授) 和田春樹(東京大学名誉教授) 新崎盛暉(沖縄大学名誉教授) 大城立裕(作家) 大田昌秀(元沖縄県知事) 我部政明(琉球大学教授) 桜井国俊(沖縄大学教授) 島袋純(琉球大学教授) 新城郁夫(琉球大学教授) 高里鈴代(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会) 高良鉄美(琉球大学教授) 高良勉(詩人、批評家) 照屋寛之(沖縄国際大学教授) 富川盛武(沖縄国際大学教授) 仲里効(メディア工作者) 仲地博(沖縄大学教授) 比屋根照夫(琉球大学名誉教授) 三木健(ジャーナリスト) 宮里昭也(ジャーナリスト) 宮里政玄(沖縄対外問題研究会代表) 山城紀子(ジャーナリスト) 由井晶子(ジャーナリスト)


STOP!9条を骨抜きにする海賊法

 
PARTU

超党派・改憲国防族が策謀

派遣までの経緯――   「海上保安庁の巡視船がソマリア沖の海賊対策に当たるのは困難だ、ということであれば、自衛隊艦艇のエスコート(護衛)は海賊対策にかなり効果があるのではないでしょうか」―昨年10月17日、衆院テロ防止特別委員会で民主党の長島昭久氏はこんな質問をして麻生首相に答弁を求めました。「こういったご提案をいただけるのは、ものすごくいいことだ」と歓迎したのは麻生首相です。
 政府与党には「降ってわいた話」でしたが、一方では、「自衛隊海外派兵恒久化」に道を開く「渡りに船」。自衛艦派遣へのスタートでした。


与党戸惑い、民主迷走
   しかし、この発想には麻生首相をはじめとする与側も最初は戸惑い気味で「もしこの案が出たら、主党は本当に党の意見をとめられるのか」ともいていますが、長島氏は「私どもの政調を通った民主の案」と明言しました。
 自衛隊派遣で考えられるのはのは、自衛隊法82条の「海上警備活動」ですが、これには、当然ながら、@護衛対象が日本関係船舶に限られる、外国船が被害を受けても守れないA武器使用も正当防衛などを除き、海賊に直接危害が加えられないB直接撃ってこないと知れば海賊には脅威ではない―などの制約がありました。 そこで「自衛艦が十分な活動をするために」 と浮かび上がってきたのが、いつでもどこでも制約なしに自衛隊が外国に出て自由に行動できるようにする「派兵恒久自由化」の新法です。

動き出した国防族
 一方、民主党は、「海賊は漫画の中の話。イメージがわかない」(平田健二参院幹事長)という声もあり ましたが、「国民新党、社民党と三党協力して麻生太郎政権を追い込んでいく過程だから、海賊対策もできる限り一致できるよう協力したい」(鳩山幹事長)という姿勢。国防族が押し切りました。
 右派勢力も11月13日には日本財団が提言するなど動き始めました。
 自民党の中谷元、民主党ても守れない武器使用もの前原誠司議員ら「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」は11月18日に麻生首相に、自衛艦派遣を要請。首相は「日本の船舶が海賊に襲われたりば海賊に人質になってからでは遅い。早急に対策を検討しなければならない」と答え、浜田防衛相に検討を速めるよう指示しました。
 ことしに入って1月7日の自民、公明の政策責任者会議では、自民党の保利耕輔政調会長が「日本の船団が海賊に襲撃され物資輸送上の の大問題になっている。新法の制定を議論したい」と述べ、公明党側も同意。「与党海賊対策等に関するプロジェクトチーム」の設置を決めました。
 麻生首相は同日、記者団に「日本人が乗っている船が捕まる確率は極めて高い。何ができるか検討するのは国民の財産を守る上で大事なこと」と強調しています。

PTが調査へ
 与党プロジェクトチームは1月9日初会合。自民・中谷元、公明・佐藤茂樹両氏を共同座長に選出し、@現行自衛隊法の海上警備行動に基づく派遣A海賊行為対処法案(海賊新法)―の両面で進めることを確認しました。  2月8日には、防衛省が護衛艦とP3C哨戒機が活動するため、港湾、空港施設や食糧の確保先など、活動拠点の決定に向けて、現 地の情報を収集するため、アデン湾周辺のジブチ、イエメン、オマーンや、米海軍第5艦隊司令部があるバーレーンに向け、調査チー ムが出発。与党のプロジェクトチーム調査団も、英国、エチオピア、ジブチ、バーレーン、ドバイなどを訪問し、政府や軍関係者と会談し、準備を進めました。
 3月14日、海ま上自た隊の護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」は、憲法的な位置づけも、武器使用の原則も全く明らかにされないまま広島県呉港を出航、ソマリアに向かいました。

違憲の「威嚇」活動も
「海上警備行動」としての行動でありながら、海上保安官8人が乗り込み、ソマリア沖のアデン湾も、能登半島沖の日本海も同じ位置づけになりました。
 2隻の自衛艦は3月30日は現地に到着。さっそく、船団を護衛したほか、2週間の間に3回にわたり、シンガポール船籍のタンカ―やマルタの商船などを警護、大音響発生装置やサーチライトで威嚇したり、搭載ヘリが旋回したりして追い払っています。  海上警備活動ではできない外国船の保護は、何と気象状況や海難事故による遭難に対応、「他の船舶の遭難を知ったときは、人命救 助に必要な手段を取る」ことを決めた船員法14条を使いました。そうなれば外国船も「援助」は義務。紛争にも巻き込まれます。

ところで海賊って何だ?
軍事力では解決しない

 「ソマリア海賊」とは一体なんでしょうか。二〇〇八年のソマリア沖の海賊事件は百件を超え、国連によれば、獲得した身代金は  110億円に達した、とされています。
 ソマリアが無政府状態になっていることはよく知られていますが、ソマリア海賊とは何かについて、二つの側面が指摘されています。一つは「外国漁船に漁場を奪われた貧しい漁民」ですが、もう一つは「コーストガード」を自称する「プロの犯罪集団」の側面です。自称「コーストガードとは、地元の権力の資金源でソマリア沖で遠洋漁業ををしている他国の漁船を密漁だと摘発し、「罰金」を徴収します。 英国のセキュリティ会社のノウハウで、このコーストガード出身者が身代金目的の海賊になり、小型武器や麻薬のシンジケートとも関わっているというのです。

沿岸国に協力を
 獨協大学の竹田いさみ教授は、雑誌「世界」3月号で「ソマリア海賊への緊急措置として国連は、海賊を制圧するために加盟国へ武力の行使を容認したが、これはあくまで応急措置や対症療法」「身代金目的の海賊行為はソマリア人にとって巨大ビジネス」と指摘。 、対策として、「ソマリア周辺国のイエメン、オマーン、ケニアなどの力を借りて、海賊対策を長期に、しかも忍耐強く行う以外にはない」「海上保安庁などがJICA (国際協力機構)と連携して、ソマリア周辺国のコーストガードを育成する技術協力を行うこと」などを提案しています。
  「世界中の海軍の艦船をソマリア沖に集めても問題は解決しない」―というのは米国防総省のモレル報道官の言葉です。

無限定、無期限の恒久法
危害射撃、船体射撃

  「世界の海の憲兵」狙うインチキ修正の動きも
   政府与党は3月14日、「改組族対処法案」正式には「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案」を国会に提出。わず か6日間の審議で、4月23日には衆院で採決を強行、自民、公明の賛成多数で可決、参院に送りました。
 民主党は国会の事前承認などを内容とする修正案を提出、自民党との「協議」しましたがまとまらず、反対に回りました。しかし、 本質的に「反対」を貫く姿勢は見せていません。
 法案はわずか13条ですが、@「経済利権の擁護」を掲げる一方で「海上における公共の安全と秩序の維持」を掲げている A保護の対象となる船舶に一切限定がないB停船命令に従わない船舶に接近する海賊船を停船させる船体射撃を認めるC海賊対処命令の発令は防衛省が首相の承認を得て行い、国会の承認は不要D「ソマリア沖」の限定や「施行期間」の定めは一切ない―などが特徴です。

一段と進む海外活動
 特に問題なのは、この法案の発想の中に、憲法9条が全く無視され、米軍との共同作戦や、先制攻撃が当然視されていることです。  これまで自衛隊の海外派遣は、武力紛争が終わった後のPKO(平和維持活動)だったり戦争協力の批判はあっても、給油や輸送で、自ら攻撃する事態はありませんでした。
 しかし今回は海賊船らしい船に停戦を命じ、応じなければ船体射撃もできる、他国の船を守るためでも同様のことが可能になり、一段と進みました。「武力の行使」や「交戦権の発動」に当たる可能性も大きいのです。
 たとえば、これまで「停戦させるための船体射撃」は「内海または領海」、あるいは「わが国周辺の公海」にだけに認められていたの ですが、これが世界中の海に広げられ、防衛省の判断で、いつでもどこでも、簡単に派遣を決めることができるようになっています。

危険な欠陥法案
 この法案は、海賊の取り締まりを「警察活動」として実施しますが、そのために必要な事柄が曖昧だったり、決められていなかったりする「欠陥法案」です。
 第一に、「海賊」の定義は、「私的目的」で「暴行、脅迫して船舶を強取すること」など7項目を決めていますが、この「構成要件」 は非常に広範であいまい。国連海洋法条約の「シージャック」まで含めており、この条約と抵触します。
 そしてここで「海賊罪」が決められる結果、海賊罪の嫌疑をかけられた不審船は抵抗、逃亡を理由として危害射撃されかねず、常に過剰対応や誤射の危険が出てきます。「つきまとい」や「接近」も海賊行為としたため、これによる船体射撃の危険もあります。
 そして刑事司法手続きでは当然の被疑者や押収物品についての規定が全くないことも、法案が欠陥法案であることを示しています。

世界の警察官になる?
 もう一つ付け加えましょう。この法案が「海上輸送用船舶の安全と海上における治安維持」と「経済利権の擁護」を全面に出し、 「世界の海の警察官」となり「世界の海上覇権」の確保を正面から目指した姿勢を隠していない問題です。
 こうした中で国会内ではまだ、「修正」をまとめようとする動きがあります。既成事実として、海上警備活動で出した自衛艦を呼び戻すのではなく、法的に追認し、世界中に自衛隊が派遣でき、米軍とともに、制約なく活動できるようにする― 。そんな動きを認めるわけにはいきません。

専守防衛、海外派遣禁止
集団的自衛権禁止など
九条の原則を次々破壊

   日本国憲法は、第9条で「武力の行使、武力による威嚇と戦争の放棄」を決め、「陸海空軍その他の戦力」の保持と、「交戦権」を認 めないことを決めました。しかし、朝鮮戦争を契機に警察予備隊が創られ、保安隊、自衛隊へと「成長」すると、憲法との矛盾が問題になりました。
 これに対し政府は、いくつかの「原則」を決めることで、この矛盾を克服してきました。「専守防衛」「非核3原則」「集団的自衛権 の否定」「海外派遣の禁止」「武器輸出の禁止」「文民統制」などがそれです。  この結果、憲法9条は国際的にも評価され、「日米軍事同盟」の強化・再編の中でも、戦争に巻き込まれず、外国の兵士を一人も殺すことがなかったのです。

動き出した改憲
 ところが、結党以来「自主憲法制定」を綱領に掲げる自民党は、2005年10月、自衛隊を軍隊にし、軍事法廷を設け、人権より も国家とつながる公益や公の秩序を強調する「憲法改正草案」を発表しました。
 同時に、日米協議による米軍と自衛隊の「再編計画」がスタート。「日米同盟― 未来のための変革と再編」(「中間報告」)と「再編実 現のための日米のロードマップ」(「最終報告」)は、これらの原則もなし崩しに破壊しようとしています。

九条を守ろう
 一方、2004年6月、加藤周一、鶴見俊輔、大江健三郎、井上ひさし、三木睦子氏ら9人による「九条の会」のアピールは、全国に 広がりました。既に七二九四の会が活動しています。
 昨年4月17日名古屋高裁は、自衛隊のイラク派遣について、「派遣先は戦闘地域であり、後方支援は先頭と密接不可分」と違憲判決を下しました。
 昨年5月の「9条世界会議」では、改めて「不戦・非武装」の日本国憲法がこれからの世界の理念として高い評価を受けました。  戦争も辞さず自分たちの利益を図ろうとする力と、平和と憲法を守ろうという力のせめぎあいは、ますます激しく、私たちの結集が 必要になっています。

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            PARTT
”進む戦争できる国づくり”
海外派兵の恒久化に反対を!


 衆院本会議は4月23日、自衛隊を海外に派遣する「海賊対処法案」を賛成多数で可決、参議院に送付しました。政府・与党はことし3月、「ソマリア海賊退治」を名目に、法律を拡大解釈し、ほとんど議論もないまま日本から1万2千キロ離れたアフリカ沖のアデン湾に自衛艦を派遣しました。
 これを既成事実に、「自衛隊海外派兵恒久法」であるこの法案を国会に提出、わずか6日間の審議で衆院を強行通過させたのです。
 「海賊対処」といいながら、この法律には、場所の制限も期間の限定もなく、武器使用も拡大されます。さらに、政府はこれを口実に、ジブチ共和国政府と地位協定を締結。自衛隊基地を建設、駐留を恒久化し、アラブ、アフリカへの軍事進出の足掛かりをつくっています。
 政府・与党は参議院でも審議を急ぎ、衆院再議決で成立させたい意向です。将来に禍根を残す憲法違反の「自衛隊海外派兵恒久法」に反対しましょう。

いつでもどこでも武力行使

 今回の「海賊法案」の特徴は、これまでの自衛隊海外派遣と違って、行動地域も、期間も限定しない無制限な法案であることです。自衛隊の海外派遣は、1991年のPKO派遣に始まり、「9・11」以後、特別措置法で実施されてきました。「テロ特措法」とそれに続く「給油法」で、インド洋に自衛艦を「常駐」させ、米軍などにガソリンを提供し続けていますし、「イラク特措法」でイラク のサマワに陸上自衛隊を送り、航空自衛隊は資材や米兵の輸送活動をしました。
ところが今回の法案には「ソマリア海賊」の「ソ」の字もなければ、1年とか2年とかの制限もなく、国会の承認すら必要ないまま自衛隊を海外に派遣することができるようになっています。
これは、戦後の日本が大切に守ってきた「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権の否認」という憲法九条を骨抜きにし、自衛隊の海外派兵を恒久化しようとするものです。米軍の世界戦略の一翼を担い「大国日本」を目指す冷戦思考そのもの。かつての「軍事国家・日本」に引き戻そうとするものです。
 既に自衛艦は、大音響で「海賊」を「威嚇」して追い払ったりしています。武器による「威嚇射撃」は九条が禁じる「武力による威嚇」そのものです。
 そして特に問題なのは、一方で法案を国会に提出し審議を求めながら、既成事実として、なし崩しに自衛艦を派遣し、基地設営や哨戒機派遣まで進めようとしていることです。こんなことなら、法律は要りません。「なし崩し派兵」を許すわけには行きません。

なし崩しに海外へ 米軍と共同行動

アフリカに永久基地
 政府・与党は4月3日、アフリカ東海岸の小国、ジブチ共和国と地位協定を締結、日本が米軍と結んでいるような協定を同国と結んだほか、見返りに、8億6千万円を供与、「ラジオ・テレビ放送局番組作成機材整備計画」として、9億2千5百万円を送ることを決めました  一方、浜田防衛相は4月17日、海上自衛隊の哨戒機P3Cを、拠点のジブチ空港に派遣する準備命令を発令、駐機場を警護する目的で陸上自衛隊も派遣することを決めました。派遣先国の主権の及ぶ一般地域の治安目的で自衛隊が派遣されるのは初めてです。
哨戒機は2機で、アデン湾上空を飛行し、船舶向けに情報を提供しますが、自衛隊のP3Cが海外で実任務に当たることも初めて。警護の陸上自衛隊は、小銃、機関銃のほか、イラク同様、軽装甲機動車の使用も検討しています。かつて日本は、中国東北部に関東軍を置き、なし崩し的に中国侵略を進めました。海外に基地を展開し覇権国家として振る舞う―、まさか日本は、アフリカで「覇権」を求めるわけではないでしょう。しかし、その代わり、現地では米軍と一緒に行動し、共同活動を実施します。「文民統制」どころか、国会審議の最中に、既成事実を進める自衛隊に、旧軍の黒い記憶が蘇ってくるのは確かです。

要衝の地、米軍も駐留ジブチ共和国
 アフリカ東海岸、ソマリアとエリトリアに挟まれた小国。もともと、19世紀後半、フランス人レセップスがスエズ運河の建設を始めた際、現在のジブチ市の反対側にあるタジュラ湾のオボック港を租借、周辺に勢力を拡大し、植民地フランス領ソマリランドを造ったことに始まりました。やがて港町ジブチが開かれ、エチオピアと結ぶ鉄道が建設され、スエズ運河に通じる紅海の入口の要衝の地として重視されました。戦後独立し、人口は80万、90%以上がイスラム教徒。古くからのフランス軍のほか、「9・1」以降、米、独、スペイン軍なども駐留。「基地の町」でもあります。

憲法忘れたメディア

海賊で世論誘導?
 「海賊法案、今国会成立の見通し」―衆議院で自民党が採決を強行し、民主党もこれを容認して、海賊対処法案が衆院を通過したことを報じた4月24日、新聞各紙は一斉にこう「見通し」を報じました。
 今回、ソマリア海賊について、自衛隊派遣論が登場してから、派遣が具体化され、法案の衆院通過に至るまで、メディアはいくつかの例外はありますが、問題点を大きく報ずることはなく、「協力」ないし「傍観」に終始しました。

政局と世論に流され…
 端的に指摘すれば、この要因となるのは、「海賊問題は重要。日本も対応すべきだ」という「誘導された世論」と、「二大政党」「政権交代」論による無意識的な民主党への傾斜です。
 昨年秋、麻生内閣の成立は、選挙の洗礼を得ないままの「政権たらい回し」で批判が高まり、小沢一郎氏が率いる民主党が国民の期待を集めました。メディアも「政権交代」をもてはやし、世論調査では、政党は「自民か民社か」、首相にふさわしいのは「麻生か小沢か」と、政党も2つ、首相候補も2人しかいないような聞き方でムード創りに一役買いました。
 報道は、いつ選挙か、どちらが有利か、に焦点が集まり、ソマリア海賊問題は「海賊対策即自衛隊」の方向に走りました。そこには、現地の状況についての正確な分析や、日本はどう行動すべきか、自衛隊派遣に問題ないのか、などはほとんど論じられませんでした。 その結果、2月24日の毎日新聞の調査では、自衛隊のソマリア派遣に、賛成が47%、反対は42.%。拮抗したものの、派遣賛成が多かったのです。3月14日内閣府が発表した世論調査でも、自衛隊による海賊対策を肯定的に考えている人は63・2%、否定的な見方は29・1%でした。

本当にやむをえないか
 新聞協会報によれば、2月段階で新聞は、28本の社説、論説がこの問題を取り上げましたが、論調は割れたものの「ほとんどが国会に対し新法制定を急ぐように要請」するという問題ある姿勢でした。
 「現行法に基づく海自派遣は、迅速性を優先した『応急措置』と言える」とした読売新聞、「海賊新法制定には党派を超えた合意形成が不可欠」とした産経新聞は言うに及ばずですが、朝日新聞も「海賊行為からの護衛は、憲法が禁じる海外での武力行使にはあたらない」「事態の深刻さを考えれば、護衛艦の派遣はやむを得ない判断」とし、毎日も「特例措置」としながら「海保の対応が困難ということであれば、海自派遣は有効な方策の一つ」としています。
 しかし、中日・東京新聞は「傍観しているわけにはいかないと、海賊対策を急ぐのは理解できる」としながら「アフリカ方面まで派遣できるなら、活動範囲は際限がなくなってしまう」「不測の事態にどう臨むのか、その詰めが生煮えのまま、防衛省に判断を丸投げするのは疑問」としました。

役割問われるメディア
 琉球新報は「憲法を軽んじていないか。軍事組織の海外派遣は、慎重の上にも慎重を期さなければならない重大な問題だ。場当たり的な対応や乱暴な議論で済まされる筋合いの話ではない」「国会審議なき自衛隊派遣は、議会制民主主義のみならず法治国家としての根底を揺るがしかねない」と主張。「週刊文春」4月16日号「新聞不信」も、「『軍靴の足音』を聞き逃した新 聞」と題して、各紙の報道を批判しました。
 メディアが世論とどのような関係にあるべきか、は難しい問題です。しかし、「ジャーナリズムは国という船の水先案内人」(ピューリッツァー)という言葉もある通り、世論の方向に警鐘を鳴らし、問題提起するのも重要な役割です。「国の在り方」を決める自衛隊派遣問題に、メディアの姿勢が問われています。

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特集・G8サミットと市民メディア“洞爺湖サミット”で市民メディアが活躍
どんな意義があったのか?


安田 幸弘

●G8メディアネットワークの経緯

 2007年6月、ドイツのロストックで開かれたG8サミットの後、2008年7月に日本で開催されるG8サミットに 対する行動についての話し合いが始まった。
 議論の中では、情報発信が「反G8」の行動における重要性が指摘された。
 情報発信のグループは、「サミット」の外で行われる現地のさまざまな行動を外部に伝えるとともに、警備の過 程での重大な人権侵害をアピールする「メディア」としての機能はもちろんだが、現地の行動に情報を提供する 「情報センター」的な役割も期待されている。
 G8でのメディア活動を組織するために、これまで国際会議での対抗メディアの経験を持つ数人のメディア活 動家が7月頃から洞爺湖G8でのメディア活動のコンセプト作りを始めた。

 目標となったのは、ロストックG8で独立メディアが設置したような情報発信の拠点としてのメディアセンターの 開設、ロストックでの行動を生き生きと伝えた動画サイトの設置、そしてG8に関する情報を発信するメディア活 動家たちの組織化である。
 しかし、日本の市民メディア、独立メディアの状況は、ヨーロッパとは大きく異なっている。ヨーロッパでは、 IndyMediaをはじめとする多くのメディア運動が存在し、また、G8参加国の半分がヨーロッパに存在することか ら、G8への関心も高い。
 それに対して、日本での独立メディアの活動は決して活発とは言えず、必ずしも現在の米国式グローバリズ ムの問題点に対する関心も低い。このような状況で、単にロストックの経験をなぞったとしても、成功の見込み は薄いと思われた。

 しかし方向性は明確だった。国際的な独立メディアは、多様な視点を包括するために脱中心的なネットワーク として運営されることが多い。日本のG8でのメディア活動も、国際的な独立メディア運動の一環として、また、 日本におけるさまざまな方向性・水準を持つメディアグループを包括するために、ネットワーク的な行動原理を 基本とすることに異論はなかった。賛否や立場がどうであれ、「G8」をキーワードに、幅広くメディア活動家に呼 び掛けていくことになった。
 特に広範な議題が扱われるG8では、情報発信の分野でも多様な視点を持つ発信者が必要であるという認 識、市民的な多様性こそが既存の官制メディア、商業メディアとの違いであるという認識も共有された。

 2007年8月ごろから「G8オルタナティブメディア準備会」として定期的に議論を重ね、何回かの小規模なワー クショップ開催の中で、活動グループの「ユニット」が形成される。10月には大枠のコンセプトが固められるとと もに「G8メディアネットワーク」の名前が決まり、ウェブサイトを開設。またビデオ、ラジオ、テキスト、翻訳など、 情報発信に必要になる役割分担の基礎を構築するとともに、北海道のメディアグループとのコンタクトを開始、 2008年に入りメディアセンター開設に向けた動きが本格化する。
 3月にはビデオユニットによる動画共有サイト「G8MN TV」をスタートさせ、北海道では市民メディアセンター設 立準備会をコアに、行政との施設貸借交渉が始まる。同時にファンド獲得のための活動を開始、地球環境財団、 トヨタ財団などをターゲットに1千万規模のファンドレイズを行った。

 プラットフォームの整備に対し、コンテンツ的な準備は遅れ、特に国際的な対応が始められたのは6月になっ てからだった。原因は、国際的なメディア活動家の圧倒的な不足だ。G8メディアネットワークのコアメンバーは、 プラットフォームの準備に時間を取られ、海外の活動家への対応や、国際的な協力の枠組みをじっくり構築す るだけの余裕がなかった。また、メディア以外の運動の分野でも、必ずしも十分に海外への情報発信ができて いたとは言えない。
 しかし、国内的にはG8メディアネットワークや各ユニットが個別に準備を積み重ねてきた。法的な問題に対応 するための会議や、ボランティアの市民記者に対する「市民記者入門」のような会議も開かれ、これらの準備は 実際の活動の場面でおおいに役立ったようだ。

 こうしてふだんはあまりコンタクトのない国内の多くのメディア活動家が一堂に集まり、活動内容やコンセプト の違いを越えてメディアセンターの開設に協力することができ、6月下旬に開催したボランティア説明会には多 くのボランティアが集まり、札幌に3個所のメディアセンターを開設することができた。
 G8期間中には、これらのプラットフォームから日本はもちろん、海外のメディア活動家も多くの情報を発信し、 「もうひとつの洞爺湖G8」を伝えたのである。

●チャレンジ

・メディアグループ間のコミュニケーションや協力関係が希薄。
・孤立したメディアグループを結び付ける努力が必要。
・小規模なメディア活動家グループだけでは、G8に対応できない。
・幅広い議題に対応するための多様なメディア活動の必要性。
・国際的な視野を持つメディア活動が少ない。
・拠点確保、活動のための資金の問題。
・言語の問題。
・メディア運動に対する認識や合意の不足。

●グローバリズムとメディアについて

 「独立メディア」の活動は近年、国際的な会議では必ず大きな役割を果たしている。

 ・1995年の国連リオ会議:NGOの情報発信が評価
 ・1999年12月のシアトルWTO:「インディメディア」の活躍


 背景はインターネットによるグローバルなコミュニケーション。
 国境を越え、世界中の人々が情報を交換できるようになった。
 新自由主義的グローバリゼーションが産み出した民衆のグローバリゼーションでもある。

 19世紀に蒸気機関車が開いた産業の世界化が労働者の国際的な連帯の道具になったように、21世紀のイ ンターネットによるメディアはグローバルな民衆の連帯の道具になっている。
 メディアは国際的な行動を媒介し、メディアは民衆の抵抗と国際連帯を世界規模に広げる。

●メディアの行動原理

 ある出来事がどれだけ社会に大きな変化をもたらすかによって報道の優先順位が決まる。
 G8サミットは、社会を大きく動かすため、サミットについては詳しく報道される。
 G8サミットのようなイベントの中で報道の優先順位を獲得するためには、大事件を起す必要がある。小さな 事件は伝えられず、伝えられない出来事は、存在しないに等しい。

 このような既成のメディアの特性に対して、オルタナティブメディアは「オルタナティブ」な価値に基づいて報道 の優先順位を決める。それは社会の大きな変動を予告する。

 また、運動の一環としてのメディアは、社会運動を「存在させる」ための情報発信活動を行う。
 さらに、記者の個人的な興味を「ニュースバリュー」の根拠とする市民メディアがある。

●市民メディアとしてのG8メディアネットワーク

 社会を構成する「政府セクター」、「産業セクター」、「市民セクター」は、それぞれのメディアを持つ。
 「官制メディア」、「商業メディア」以外は、「市民メディア」。職業的なメディア従事者以外の人々によるメディア を総称する。
 誰もが認める定義は存在しないが、「市民メディア」「オルタナティブ・メディア」について、それぞれの特徴をあ げる。

 市民メディアは次のような要素を持つ:

新しい表現の形式
イベントの能動的な聴衆
表現・コミュニケーションの楽しみ
多様な興味に対応する多様な情報の発信
政治的主張は二次的
非営利的だが営利活動を否定しない
 市民メディアは、メディア技術の発達による発信手段の大衆化により、市民自らが制作したコンテンツを伝え るメディアといえる。

 オルタナティブ・メディアは次のような要素を持つ:

既成のメディアへの批判
政治色が強い
少数者の立場の強調
反商業的傾向
意図的な偏向が強い
 オルタナティブ・メディアは市民メディアとオーバーラップする部分があるものの、ある種のイデオロギー的な 運動の側面を持つ。イデオロギーの内容はそれぞれの主体により多様である。
 なお現在では独立メディアという概念は、オルタナティブ・メディアとほぼ同じと考えてよい。自己アイデンティ ティとして「独立」を使うか、「代案」を使うかの違いである。

 欧米では、G8やWTOなどの国際会議でのメディア活動は、主にオルタナティブ・メディア陣営によって主導さ れる。米国流のグローバリズムと多国籍メディア資本との関係(グローバリズムの宣伝部隊としてのメディア、ま た、グローバリズムによる利益の享受者としてのメディアなど)が、必然的に運動サイドのメディアをオルタナティ ブ側に押しやるのである。

 G8メディアネットワークの内部では、「オルタナティブ」、「市民」のどちらをアイデンティティとすべきかで多くの 議論があったが、G8メディアネットワークは、主に行政との対応(施設の提供を求める)という文脈で「市民メディ ア」としてのアイデンティティを掲げた。
 ただし、欧米ではオルタナティブ・メディア(独立メディア)陣営が行政の協力を獲得するケースも多い。日本国 内のオルタナティブ・メディア活動が十分な社会的認知を受けていないためでもある。

●メディアのネットワーク

 G8メディアネットワークは、多くの国際的な独立メディアのネットワークにならい、既存のピラミッド型の組織で はなく、中心を持たない自律・分散型のネットワーク組織として活動した。
 ネットワークは多様なメディアをつなぎ、それぞれの独自の活動を保証する。
 少数で構成される意思決定機関が全体の動きを決定することはない。
 全体の意思決定が必要な場合は、メーリングリスト、全体会などでの「ラフ・コンセンサス」によって行われる。
 実務的な運営は、少数の実行委員によって行われるが、ここでの権限はプラットフォームの構築や管理など に限られ、ネットワーク全体のポリシーの決定には特別な権限は持たない。
 実際の情報発信の活動や、情報発信におけるポリシーなどの策定は、個々のネットワーク参加団体が独自 に行うか、「ユニット」の中での会議によって行われる。

●評価

 G8メディアネットワークの当初の目的は、メディアセンター設置、日本国内のメディアグループのネットワーク の構築、国際的なメディア運動との連携だった。
 これらの点については、一応当初の目的を達成したと言えるため、G8メディアネットワークの活動は成功した と言える。

 しかし、その内容に立ち入れば、不十分な点は多い。
 3個所に分散したメディアセンターは、十分な連携が取れず、また、参加したメディア活動家は当初の予想よ りも少なかった。
 メディアグループのネットワーキングという点でも、十分にメディアグループをカバーできたとは言えない。理 由のひとつには、特に市民メディア陣営にとってG8の議題はなじまないもなだったという点があげられるだろう。
 また国際的なメディア運動との連携についても、特に事前の準備不足は否めない。通常なら、数ヵ月かけて 電子メールなどで企画を立て、1週間ほど前にメディア活動家が集まって実際の準備を進めることになる。その ため、海外のメディア活動家との間で経験やノウハウなどの交換、新しい試みなどの活動は限られたものだっ た。

 メディア活動に関する情報交換は、一般にはさまざまな技術的な試みや内容面での企画、ポリシー的な議論 などが含まれる。もちろん、これは国際的な関係だけのものではなく、国内のメディアグループの間でも情報の 交換・共有が行われなければならない。国際会議でのメディアセンターは、メディアグループが新しい知識を得 て、新しい企画を試す場でもある。

 特に日本のメディアグループは、IT技術やメディア活動に関するフィロソフィという点で、欧米のメディア活動 に大きく遅れを取っている。
 今回のメディアセンターは、知識や情報交換機能については個別に行われていただけで、組織的な取り組み ができなかったのは残念な点だ。
 ネットワークという組織形態を取ったことは、G8メディアネットワークの成功の一因と評価したい。反G8ばか りでなく、G8に対して肯定的な市民記者の参加もあり、活動に広がりを与えた。また、それぞれのユニットの役 割分担、独自のガバナンスなどは、大きなプロジェクトで問題になる組織運営の問題を軽減することに役立った と思う。

 反面、多くの人々、特に既成のメディアに近い人々の間には、「メディアのネットワーク」、「プラットフォームとし てのネットワーク」というコンセプトそのものが理解されていないようにも感じられた。
 G8メディアネットワークにおいては、「何を伝えるか」、「メディアとしてのスタンスやポリシー」などは重要では ない。それらは、ネットワークに参加するメディアグループや市民記者に投げ掛けられるべき問いであり、G8メ ディアネットワークに「何を伝えるのか」を問うことはできないのである。

 また、「市民メディア」というアイデンティティを明確にするために、当初、極力「オルタナティブ・メディア」的な 主張を抑制せざるを得ず、オルタナティブ・メディア側から不満の声が上がるなどもあった。

 G8メディアネットワークの成功に大きな寄与をしたのは、資金獲得だった。
 施設の使用料、スタッフの交通費、機材のレンタルなど、莫大な費用がかかるメディアセンターを運営すること ができたのは、ファンドの獲得なしでは不可能だっただろう。
 日本のメディア運動の中では、最初からファンドレイジングを諦め、限られた予算により貧弱な活動しかできな いというケースは多い。十分な資金を用意することができれば、ある程度の成果を上げられるのである。
 ファンドレイズの努力の重要性は強調しておきたい。

●結論

 これだけのメディアグループが集まり、1つの対象に向けて共同の活動をすることは、日本では初めての経験 だ。当初は、はたしてそんなことが可能だろうかと思うこともあった。
 国際的なメディア活動の経験に乏しい日本のメディアグループがここまでやり遂げたのは、率直に言って驚く べき成果を上げたと言っても差し支えない。
 サミットの後も、ここで形成されたネットワークを通じ、メディアグループの間でのコミュニケーションが続いてい る。そして、多くのメディアグループが今回の経験から多くのことを学んだ。

 今回の活動だけを取り上げて成果を語ることはできないだろう。目に見えない今回の経験を、今後の日本の メディア運動の中で十分に生かすことができるかどうかが重要ではないだろうか。

やすだ・ゆきひろ: ゆいネットワーク発起人、レイバーネットジャパン副代表。フリーランスのテクニカルライターとして、今回のメディアセンターの開設、運営では中心役割を担う。
・IT(情報技術)分野の単行本の執筆、雑誌に技術解説記事を寄稿。また、非営利組織(NPO)団体を対象としたシステムやインターネットサイトの開発・運営・コンサルタンティングを行っています。著書に『Zopeガイド』( 毎日コミュニケーションズ)、『Apacheアプリケーションサイト構築』(オーム社)、『市民インターネット入門』(岩波ブックレット433 )ほか多数。
この記事はゆいネットワーク・連合通信社共同企画の講演会「G8サミットと市民メディア」(8月29日(金))のレジュメである。

 
  
“9条が社会、メディアを動かす”を実感
  ――「9条世界会議」分科会から


  「この人波、この熱気、目の輝き 9条の力は凄い!」――5月4日正午前、「9条世界会議」初日の千葉幕張メッセ会場前に立った第一印象である。その時、翌5日の分科会「憲法九条とメディア」(主催:韓国記者協会・日本ジャーナリスト会議・マスコミ関連九条の会連絡会)の成功を確信した。
 
◎あいさつするキム・キュンホ韓国記者協会会長(左端)

  さて、5日午後の分科会―当初の想定=参加者約100人を直前に、会場満杯160人に訂正して、パネリストとスタッフ用以外のテーブルを運び出し、全員椅子席に切り換えた。それでも足りず、パネリストのテーブルを目一杯下げて、床・通路に座り、壁際の立ち見と、200人を超える「満員札止め」となった。市民メディアや韓国メディアも取材に来ていた。
 会場に熱気が充満する中、コーディネーターの小中陽太郎氏(作家)が開会を宣言、主催者でもある韓国記者協会のキム・キュンホ会長が「昨日、全体集会に参加し、いま世界にとって平和と憲法9条の重要性がますます強くなっていると感じた。この後、私たちは北朝鮮を訪問し、両国記者同士が話し合うが、今回の経験を活かして、半島における武力対立を解消する意思を確認、皆さんの熱い思いも伝えたい」と挨拶した。

  パネリストのトップバッターは、同じく韓国記者協会の元会長・現顧問の李成春氏。記者として長年、日本駐在経験のある大ベテラン――「現憲法と明治憲法の違いは、国民主権・平和・人権の三つ。GHQより前に、中江兆民、吉野作造、矢内原忠雄たち先人の精神が流れ込んだもの。私も昨日の全体集会に参加し、『9条は日本だけのものではなく、世界の憲法になるべきだ』と確信した。日本の政府は、過去の植民地支配を反省、謝罪しながら改憲策動するから、アジア各国から信用されない。9条を誇るべきなのに、一部のマスコミは政府の立場に近い」と矛盾を指摘した。韓国記者協会は、60年代から70年代、独裁政権の弾圧に抗して「言論の自由」を闘いとる過程で結成された組織。日本の大手マスコミ人に対する批判と期待は、それだけに重く強い。
 通訳は慶応大学研究所研究員の李洪千氏、ハングルから日本語、日本語からハングルへと、八面六臂の活躍。国際シンポジウムの影の立役者だった。
 会場から溢れ出た長蛇の列を横目に、韓国からの客人たちをメーン会場に押し込み、その後の推移を見守る。どうやら1万2000人ほどが入場(7000人収容)、約3000人が場外での集会や展示ブースを回って帰途についたという。
(阿部裕=記事/清水雅彦=撮影:JCJ会員)

   
・写真上:通訳者の李洪千氏と李元会長ら(左から)
・写真下:床に座り込む参加者、入りきれない人も出た


*上記の記事はさる5月4日から6日まで開催された「9条世界会議」(千葉・幕張メッセ)で分科会、自主企画のイベントが集中した5日に、韓国記者協会、日本ジャーナリスト会議、マスコミ関連9条の会連絡会が主催したシンポジウム「憲法9条とメディア」のリポートである。


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