(ジャーナリスト)
支払い方法から見直す年金報道を
大野 博
12月11日付の朝日新聞で、星浩編集委員が元NHK海外特派員・二ユースキャスターで外務報道官を歴任して高島肇氏のメディア分析を紹介している。「問題の解説や分析が少ない。もっと意味を掘り下げた長い記事を」(要約)という。星氏は「耳の痛い批評」といっている。すべてのメディアも同じ思いだろう。
高島批判が当てはまる例として「年金」があげられる。この問題は5000万人の記録紛失と、その追跡がどうなっているかなどの報道が主である。しかし、問題の基軸は実は保険料の取り方にある。この視点がメディア報道に欠けている。
厚生年金などの社会保険料は給料から天引きである。それを会社などの担当者が社会保険事務所に持って行ってくれる。払うご当人は素通りである。これが5000万にもの年金を行方不明にして原因ではないのか。つまり本人にはどうしても「年金保険料は払っている、だから自分の受け取る年金はかくかくの額だ」との自覚が出ない。さらなる年金行政の怠慢を許すことにもなっている。
自分の保険料は自分で計算し、自分の時間をつぶし、自分の足で社会保険事務所に持って行く―このプロセスを経てこそ「年金は確実に受け取るぞ!」の自覚が出る。高島批判に答えるためにも、メディアは年金保険料の天引き廃止を主張してはどうだろうか。
(ジャーナリスト)
見え隠れする戦中戦後用語
大野 博
「ほしがりません勝つまでは」「耐乏生活」―いずれも戦中戦後を経験した世代にはおなじみの言葉である。この二語、どうやら再び姿を現しそうな近況である。
ことの端緒は消費税問題である。「財政再建のため」「年金その他社会保障にあてるため」として、現行5%を10%にアップすべきだというもの。
どのような税でも、税率と税収は山型のカーブを描く。横軸に税率、縦軸に税収をとる。しかしある税率以上になると税収は反転してダウンカーブを描くようになる。
今消費税率は5%で税収は10兆円である。これを10%にしたら税収は20兆円になるだろうか。とんでもない話である。絶対あり得ない。1,2兆円増さえおぼつかない。
なぜか。サブプライム、石油高、株安、円高と不安なニュースが押し寄せる昨今である。庶民は早くも生活防衛の構えである。消費税を1%でもアップしたら、たちまち「ほしがりません勝つまでは」「耐乏生活」の感覚が呼び戻される。つづいて買い控えが強まる。個人消費が落ち込む。と、生産が後退する。着地点は経済全体の萎縮である。民のカマドから火が消えるのは自明である。
「〜勝つまでは」とは何か。予想されるのは総選挙で野党が与党に勝つことである。
(ジャーナリスト)
破綻の原因は住宅政策
大野 博
世界の金融が揺れている。発端は米のサブプライムローン(低所得者向け住宅金融)だという。しかしこの見方は皮相である。真の原因は住宅政策の誤りである。日本もこの轍を踏まないようにすべきである。
住宅政策は大別して持ち家推進と公共賃貸推進の二路線がある。この源流は産業革命である。住宅が政治問題化したのはここからである。資本はできるだけ持ち家を望んだ。労働者は低賃金でも、自分の家があれば動きたがらないからである。他方、労働者は公共賃貸を要求した。低賃金ならさっさとほかに移動できるからである。
住宅金融(ローン)は持ち家政策の基軸である。勢い住宅建設は収益事業となる。住宅環境は無視される。
公共賃貸ではどうか。公費だから収益は副次的である。住宅環境は優先的に考慮される。
米の場合、よりによって低所得層住宅に手当てした。そして返済不能か続出してサブプライムショックとなった。低所得者住宅はあくまで公共賃貸を建設すべきである。もとよりそれは高質・低家賃であるべきは当然である。
日本の場合はどうか。保守政党が持ち家を、革新政党が公共賃貸を主張しているのはもっともである。
だが意外とする向きが多いが、行政レベルは実は公共賃貸路線なのである。この筋は以前から「自民党の住宅政策は本来の住宅政策ではない。党勢拡張に利用しているだけ。こんなことを押しつけられて迷惑していると言っている。
自民党は住宅減税に熱心である。今それは10年で500万円、年平均50万円、月平均4万円。さすがら07年度の税制論議では「これ以上の優遇は賃貸との均衡上問題である」と見送られた。
今のサブプライム問題の真因が住宅金融政策の誤りであることに気がつき、今後の住宅政策の手がかりにしたいものである。
(ジャーナリスト)
連立政権理念の欠如を露呈
大野 博
小沢一郎氏を軸にした大連立騒動は何とかケリがついた。一連の動きではっきりしたことは、日本ではまだ連立政権とはどのようなものかとの理解がないことである。
そもそも連立政権とは、一政党の議席だけでは過半数がなく、比較多数議席のときに、必要になるものである。複数政党が政策をきちんと協定し、過半数議席を構成する。これが連立政権の理念である。
いま、衆議院は自民党が、参議院では民主党がそれぞれ多数を占めている。なぜ連立政権が必要なのか。「ねじれ国会では重要法案が成立しないから―」という。
しかし、ねじれ国会での対応は二つある。一つは衆議院可決、参院否決の法案は衆院に回す。そして三分の二多数で再議決し、成立させることである。これは憲法の規定するところである。
二つめは法案を断念することである。この例は鳩山内閣にある。小選挙区法案は衆院で可決されたが、参院で否決された(1956年4月)。さすがは党人政治家鳩山一郎氏である。小選挙区制はそのままお蔵入りにした。
その逆が小泉純一郎首相(当時)である。郵政民営化法案は衆院で可決されたが、参院で否決された。小泉氏は直ちに衆院を解散した。確かに選挙の結果は自民党が三分の二多数を占めてた(05年9月)。
しかし、この例は日本の議会史に大きな汚点を残し、外国から笑いものにされた。下院で可決、上院で否決したので下院を解散するなどは、およそ議会制度の論理に合わないからである。
福田首相、小沢代表とも姑息な発想はせず、正面からねじれ国会に立ち向かうべきである。
蛇足ながら、今度の連立政権劇に新聞界の実力者が一枚かんでいる。日本の新聞の権威のためにご自重願いたいものである。
(ジャーナリスト)
”モッタイナイ”!!学力調査
大野 博
文科省は四月に行った全国学力調査の結果を発表した。
まず驚いたことはこの調査は222万人の学童・生徒全員を対象にしたことである。「そんなに必要なの?」というわけ。ちなみに総務省が実施している全国家計調査消費者物価調査は全国3800万世帯からわずか1800世帯を抽出したものである。統計理論からこれで十分全体状況が掌握できるという。
滑稽!だったのは文科省の結論である。「基礎的な知識に比べ、活用する力が弱い」とのこと。「知識を活用する力が弱いのは文科省ご自身ではないの」といいたいところである。同省は08年度もそれも学年早々の4月に行うという。学力の増進減退は一年や二年で変わるものなのだろうか。今回と同じような結果が出ることは目に見えている。しかも年度始めに実施するとは「予算を早く使おう」という役人根性が見え見えである。
さらに我慢ならないのは、この調査に77億円も費やされていることである。国立大学の創設には50億円かかるという。77億円は1.5校作れる計算である。どちらが有用な税金の使い方かを考えてほしい。
テストは何度もやると受験技術化する。学力増進にはならない。また学力調査の弊害の最たるものがカンニングである。43年前の学力調査では、四国某県で公然カンニングが行われたと問題になった。こんな調査は今回限りにすべきである。
(ジャーナリスト)
真の親子二代首相となるために
大野 博
福田康夫首相は憲政史上初の親子二代政権である。まずはおめでとうといおう。祖父・孫、兄弟の政権は例がある。いずれの例も奇しくも岸信介氏の一族である。
そこで福田首相に父・福田赳夫首相(以下父首相)の何を受け継いでほしいかである。それは「強きを挫き弱きを助ける」上州精神である。
戦後レッドパージが吹き荒れた。反動攻勢の第一歩である。大手工作機械メーカーの池貝鉄工でも大勢のパージ者を出した。
このときこれらの人々の再就職に骨折ったのが父首相だという。父首相にこのような一面があったことはほとんど知られていない。まさに「弱きを助ける」上州精神の権化と言ってよいだろう。福田首相もぜひこの父首相を見習い、受け継いでほしい。それでこそ真の親子二代首相といえるからである。
(ジャーナリスト)
強まる伊吹幹事長への風当たり
大野 博
「沖縄戦の住民の集団自決は軍の命令ではない」との教科書検定には、地元沖縄はもとより、各界から反発が出ている。政界でもそうである。とくに自民党でこの問題で糾弾!されるのは伊吹文明幹事長のようである。同氏のただでさえ弱い党内基盤はいっそう弱まりそうである。
福田総裁が幹事長に伊吹氏を起用したのは意外中の意外だった。同氏は「なぜぼくが起用されたのかは総裁に聞いてほしい」ととぼけている。前安部内閣では文科相だった。教科書検定問題はこのとき起きた。批判に対して「大臣が検定に介入したら国家は成り立たない」と完璧な国家主義官僚にしてかつ無責任な発言をしていた。その安部首相のもとでの参院選では自民党は大敗した。当の沖縄では自民党候補は落選した。教科書検定が原因である。伊吹氏とは無関係であり得ない。
福田内閣で文化相となった渡海紀三朗氏は「県民感情を考えたとき、より慎重に取り扱おうと思うのが率直な気持ち」(9.30朝日)といい、伊吹氏の落差を示している。
自民党では幹事長は万能の権力者。そのためには党内に強固な基盤を持つことが必要である。しかし伊吹氏にはそれがない。一応「師水会」なる派閥の会長ではある。この派閥は旧福田、旧中曽根派を集めたもの。伊吹氏はこの派閥内でも基盤は弱い。旧中曽根派プロパーではないからである。故渡辺美智雄氏の「温知会」育ちである。プロパーの島村宣伸元農水相とはウマが合わず、結局同氏は離脱した。先の総裁選挙で派として福田支援と決めたものの、5名の麻生候補支援者を出している。教科書問題の進展は予断を許さないが、党内、派閥双方の基盤の弱い伊吹氏に風当たり強まりそうでいる。
(ジャーナリスト)
福田首相の黒衣・越智通雄氏
大野 博
自民党総裁戦は終わり、福田康夫氏が選ばれ、続いて首相に就任した。総裁選中どのメディアも報道しなかったことがある。
それは今年が福田首相の父、赳夫首相の没後17年であり、その17回忌の法要が6月某日都内のホテルで開かれたことである。1000名ほども参加しただろうか、盛大であった。安部首相(当時)、森元首相、町村外相(当時)、塩川元財務相、今井敬新日鉄名誉会長らが福田元首相を偲ぶあいさつをしていた。会のホストは康夫氏である。定位置を動かず参会者と握手したり、会話を交わしていた。
だが会場で足繁く動き回り、あいさつをしている人がいた。故福田元首相の女婿でもあり、福田康夫首相の義兄でもある越智通雄氏である。同氏は一高・東大・大蔵省と典型的なエリートコースを歩き、福田元首相に見込まれて女婿になったもの。
大蔵省でも順調に昇進した。主計局の課長の時、賀屋興宣氏が引退したのでその地盤を継いで政界に進出した。経済企画庁長官などを勤めたが、同氏が政界で一目置かれたのは何といっても福田元首相の女婿だったからである。前回の総選挙を機を引退したが、77歳にもかかわらず健康そのものである。
「政界一寸先は闇」との格言がある。しかし逆もまた真なのである。「政界一寸先は光」ということである。6月の集まりの時、誰が3ヶ月後に安部首相が退陣し、福田康夫氏が首相になると考えただろうか。「神のみぞ知る」とはこのようなことだろうか。
こうなると水平線上にかすかに見えてくるのが越智通雄氏の存在である。そのキャリアからみて、福田首相の財政金融経済政策の黒衣とみても不自然でない。
(ジャーナリスト)
「祖父は孫より少しマシ」
大野 博
60年安保の主役は岸信介首相(当時)であった。安部晋三首相はその孫である。安保で岸首相が退陣したのはアイゼンハワー大統領の訪日阻止が原因なのは疑問の余地のないことだった。これで岸首相は「米政府の信用をなくした」と感じたからである。
後日、当時のマッカーサー駐日米大使がア大統領に会い、このときの模様を話し合った。この席でア大統領はいったという――「この国の政治家は無責任より少しマシというものだね」と。
さて、9月12日安部首相は突如退陣を表明した。これに対する各界各層の反応は「なぜ参院選大敗とわかったときに辞職しなかったのか」「国会史上例のない無責任さ」といった具合である。アイゼンハワー大統領流にいうと「祖父は孫より少しマシだった」ということになるか。
(ジャーナリスト)
*アイゼンハワー大統領の訪日中止(ハガティ事件)
日米修好条約100周年記念に岸信介首相はアイゼンハワー大統領を招待していた。1960年5月20日に衆議院で日米安全保障条約の新条約案が強行採決されると,「民主主義の破壊である」として一般市民の間にも反対の運動が高まった。6月10日、その渦中に大統領来日の準備をするために特使,ハガティ新聞係秘書(大統領報道官)が来日したが、羽田で群衆に包囲されてアメリカ海兵隊のヘリコプターで救出され避難する事態となった。アイゼンハワー大統領の訪日は中止に追い込まれた。
弁護士と「増量質落」
大野 博
「量を増やせば質は落ちる」――この命題は正しいか否か。
最高裁判所が9月3日に発表した、今年の司法試験の合格者を見ると興味深い(9月4日付朝日新聞による)。
合格者は1500名で不合格者は71名という。一世代前の合格者は500名だったというから、3倍に増えたということか。さらに3000名まで増やす計画という。では質はどうなのか。最高裁は「合否の判定基準は変えていない」といっている。
しかしベテラン弁護士によると明らかに質は低下しているという。その原因は法科大学院制度だという。ここを終了していないと受験できない。さらに問題なのは試験科目。司法試験の科目は六法(憲法・民法・刑法・商法・民訴法・刑訴法)だけ。労働法、破産法は素通りである。受験者は六法しか勉強しない。「最近の裁判官は労働法を知らないものが多い」ともいっている。
ほかにも問題がある。裁判官、検事への登用人数である。司法試験合格者を増やしても、判事、検事、さらに司法関係の書記官、事務官、技官を増やさないことには裁判は停滞するばかりである。07年度で見ると06年からの増員は判事35名、検事30名、司法職員は356名である。この数字を司法試験合格者1500名と対比してほしい。弁護士だけがやたらに増えそうである。
いま判事一人が持つ事件は170件という。かつてある判事が病気で入院することとなった。しかし予定の時刻が近づいても来ない。やっと駆けつけてきたが、その手に書類カバンを持っていた。聞くと「担当事件を他の判事に依頼するのに時間がかかった」とのこと。すごい労働強化である。これでは公正な裁判は出来ない。
司法試験の合格者を増やすのはよい。でも「増量質落」は全体に避ける。判検事もバランスのとれた増員をするべきだろう。
(ジャーナリスト)
医師は増やすより偏在性是正を
大野 博
厚生労働省は08年から3年かけて医師3万人を増やす計画という。これは辺地の医師不足を解消するためという。しかしこの路線には疑問がある。医師を増やすより、その偏在性是正にチエを出すべきである。
医師は16万人いる。だがその勤務地は都市の中心部が多く、周辺部には少ないのが実情である。
太平洋戦争前、無医村解消は医療行政の中心課題であった。種々対策を講じたものの、あまり効果はなかった。現在でも郡部の6割は無医状態だという。
戦後、町村の多くは合併して市になった。かつての村は行政上は市の一部とはいえ、周辺部であり実質的には「村」である。医師も市の中心部には多いが郡部には少ない。
また、産婦人科や小児科の医師不足がメディアの話題になっている。これなどは医療制度の構造上の問題であり、単に医師を増やせば偏在性は解消されるのか、はなはだ疑問である。
「量を増やせば質が落ちる」という不滅の真理!も銘記すべきであろう。
(ジャーナリスト)
自民党三役の寸描
大野 博
打点ゼロのタレント打者・石原伸晃政調会長
石原氏ほど役職運に恵まれた議長はいない。行革相、国交相、道路調査会長、幹事長代理と黄金コースを歩いてきた。だが「ちょっと待てよ」ととの感じが起きる。どのポストでも「さすが石原さんだ」と感服する場面があっただろうか。トンと思い当たらないのである。
どの問題でも自分自身の定見がないからである。野球でいえば打席に裁つ機会は多いが、ヒットが打てない。それはまた打点がないことである。
米大リーグは打率より打点数を重視するという。打点つまり得点が多い選手ほどチームに貢献しているからである。石原政調会長も得点を稼いでほしいものである。
参院選の責任をとり、中川秀直幹事長は辞任した。石原幹事長代理は逆に昇格である。さすがに安部側近というべきか。「伸晃から石原都知事を差し引いたら、残るものはなにもない」などといわれないようになってほしいのである。
角福怨念の目撃者・二階俊博総務会長
1972年6月佐藤栄作首相が退陣した。すぐ始まったのが田中角栄、福田赳夫両氏のポスト佐藤争いである。世にいう角福怨念(角福戦争)である。
これは事実上の金権闘争であった。中間派のA議員がいたとする。票を獲得するために田中派から100万円出る。すると福田派からも150万円、またまた田中派から200万円といった具合である。「金権政治」とはこのときに生まれた言葉ではないか。
二階氏はまだ議員でなく、遠藤三郎議員(当時)の秘書だった。同議員は藤山派に属していたがこの派閥は名ぞ存実亡の存在で、角福の絶好の草刈り場だったわけ。
二階氏はこうした角福怨念・権力闘争のすさまじさを見ながら議員秘書から議員生活に入ってゆく。離党、そして復党。運輸相、経産相の政治歴を持ち、与野党に豊富な人脈を持ち、二階グループ(グループとは派閥より格落ちの集団)を率いている。崖っぷちの自民党を支えて、坊秀男、早川嵩の両氏以来久々の和歌山選出の実力者になれるかどうか。
やっぱり派閥の長にならねば・麻生太郎幹事長
吉田茂元首相の孫、麻生財閥の直系という毛並みの良さだが、広池会という大派閥にいたせいか、存在感はなかった。しかしどう派閥が三つに分裂し、麻生氏は最小の河野洋平氏のグループに属した。
トップの河野氏が衆議院議長になり、その跡を継いで麻生派を名乗ったところで、がぜん存在感が出てきた。政調会長、総務相、外相と順風満帆である。しかし砂上の楼閣ともいわれる安部内閣である。幹事長として党を切り盛りしていけるだろうか。
(ジャーナリスト)
8月27日付朝日新聞「私の視点欄」にカート・キャンベル元米国防次官補代理、マイケル・グリーン前国家安全保障会議上級部長(以下単に両氏とする)まテロ対策特別措置法(以下テロ法)についての「日本は長期的影響を考えよ」との寄稿が掲載されている。要約すると「小沢一郎氏は再考しテロ法継続に賛成すべきだ」というもの。一読して「両氏は議会制度、さらに民主主義の何たるかを忘れたのか」と思った。
7月29日に行われた参院選で小沢一郎氏の民主党が多数議席を獲得した。テロ法継続反対を訴えてのことである。このことは有権者の意志なのも自明である。選挙の結果を無視するなど民主主義の政治にはあり得ないことである。両氏の「再考せよ」との提言は日本の有権者を愚弄するものである。
両氏のこの論文は参院選の開始前に公表すべきだった。参院選中に公表すれば明白な選挙干渉になる。参院選の結果が明らかになったからには、この意見は少なくとも日本のメディアに公表すべきではなかった。
臨時国会に向けてのテロ法論議は活発になる。この場合論議の基礎は参院選の結果におくべきである。
蛇足だが1967年4月都知事選が行われた。佐藤内閣のときである。反自民候補は美濃部亮吉氏だった。スローガンに「ストップ・ザ・佐藤」を掲げた。一米人新聞記者がこんな英語はない」といったのには驚いた。当時米大リーグではヤンキースが連勝していた。「ストップ・ザ・ヤンキース」を合い言葉にした。立派な英語ではないか。くだんの米記者は大リーグをみたことがないのかと思った。
両氏も米では選挙結果が政治にどう影響するかはご存じのはず。この感覚で日本の政治を見守ってほしいものである。
(ジャーナリスト
8月27日付朝日新聞「私の視点欄」にカート・キャンベル元米国防次官補代理、マイケル・グリーン前国家安全保障会議上級部長(以下単に両氏とする)まテロ対策特別措置法(以下テロ法)についての「日本は長期的影響を考えよ」との寄稿が掲載されている。要約すると「小沢一郎氏は再考しテロ法継続に賛成すべきだ」というもの。一読して「両氏は議会制度、さらに民主主義の何たるかを忘れたのか」と思った。
7月29日に行われた参院選で小沢一郎氏の民主党が多数議席を獲得した。テロ法継続反対を訴えてのことである。このことは有権者の意志なのも自明である。選挙の結果を無視するなど民主主義の政治にはあり得ないことである。両氏の「再考せよ」との提言は日本の有権者を愚弄するものである。
両氏のこの論文は参院選の開始前に公表すべきだった。参院選中に公表すれば明白な選挙干渉になる。参院選の結果が明らかになったからには、この意見は少なくとも日本のメディアに公表すべきではなかった。
臨時国会に向けてのテロ法論議は活発になる。この場合論議の基礎は参院選の結果におくべきである。
蛇足だが1967年4月都知事選が行われた。佐藤内閣のときである。反自民候補は美濃部亮吉氏だった。スローガンに「ストップ・ザ・佐藤」を掲げた。一米人新聞記者がこんな英語はない」といったのには驚いた。当時米大リーグではヤンキースが連勝していた。「ストップ・ザ・ヤンキース」を合い言葉にした。立派な英語ではないか。くだんの米記者は大リーグをみたことがないのかと思った。
両氏も米では選挙結果が政治にどう影響するかはご存じのはず。この感覚で日本の政治を見守ってほしいものである。
(ジャーナリスト)
参院選結果がテロ特措法論議の基礎
大野 博
8月27日付朝日新聞「私の視点欄」にカート・キャンベル元米国防次官補代理、マイケル・グリーン前国家安全保障会議上級部長(以下単に両氏とする)まテロ対策特別措置法(以下テロ法)についての「日本は長期的影響を考えよ」との寄稿が掲載されている。要約すると「小沢一郎氏は再考しテロ法継続に賛成すべきだ」というもの。一読して「両氏は議会制度、さらに民主主義の何たるかを忘れたのか」と思った。
7月29日に行われた参院選で小沢一郎氏の民主党が多数議席を獲得した。テロ法継続反対を訴えてのことである。このことは有権者の意志なのも自明である。選挙の結果を無視するなど民主主義の政治にはあり得ないことである。両氏の「再考せよ」との提言は日本の有権者を愚弄するものである。
両氏のこの論文は参院選の開始前に公表すべきだった。参院選中に公表すれば明白な選挙干渉になる。参院選の結果が明らかになったからには、この意見は少なくとも日本のメディアに公表すべきではなかった。
臨時国会に向けてのテロ法論議は活発になる。この場合論議の基礎は参院選の結果におくべきである。
蛇足だが1967年4月都知事選が行われた。佐藤内閣のときである。反自民候補は美濃部亮吉氏だった。スローガンに「ストップ・ザ・佐藤」を掲げた。一米人新聞記者がこんな英語はない」といったのには驚いた。当時米大リーグではヤンキースが連勝していた。「ストップ・ザ・ヤンキース」を合い言葉にした。立派な英語ではないか。くだんの米記者は大リーグをみたことがないのかと思った。
両氏も米では選挙結果が政治にどう影響するかはご存じのはず。この感覚で日本の政治を見守ってほしいものである。
(ジャーナリスト)
大臣の事務次官の決め方
大野 博
官庁では事務次官はじめ幹部の人事をどのように決めるのか。大別して4型がある。
・A型:田村元氏が通産大臣になった。「人事には一切口を出さない」と宣言した。
・B型:田中六助氏が通産大臣の時、課長クラスの人事にまで注文をつけた。事務次官、官房長が大いに困ったものだ。
・C型:大臣は人事に介入しなかった。しかし労働省OBの某国会議員が、しきりに注文をつけた。事務次官、官房長も困っていた。
・D型:一万田尚登蔵相は森永貞一郎官房長を事務次官に登用しようとした。しかし同氏は「スジの通らない人事は引き受けられない」と抵抗した。スジが通らないとは「年次を無視するな」ということ。
さすがは大蔵省、官僚の牙城であった。大臣も人事に口を出せないというわけである。
さて、防衛省の次期事務次官をめぐる小池百合子大臣と守屋武昌事務次官の軋轢は、首相官邸が仲裁する形で何とか決着した。A〜Dのどの型にもはまらない新型!というべきか。
(ジャーナリスト)
[註]・通産省=現在の経産省:労働省=現在の厚生労働省:大蔵省=現在の財務省